1997 Fiscal Year Annual Research Report
世紀転換期ウィーンにおける装飾とセクシュアリティー-性とのその表象に関する思想的研究
Project/Area Number |
08610043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 純 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10251331)
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Keywords | ウィーン / セクシュアリティー / 装飾 / 性 / 表象文化論 / 精神分析 / 美術史学 / 建築理論 |
Research Abstract |
本年度は資料の収集とデータベース化をさらに続けるとともに、次のような活動をおこなった。 1.オット-・ヴァイニンガーの著作における〈セクシュアリティー〉の分析とそれが同時代の思想家・芸術家たち(例えばカ-ル・クラウス、アドルフ・ロース、ルートウィッヒ・ウィトゲンシュタインなど)に及ぼした影響を検討した。さらにこのウィーンの知的状況のなかにフロイトの精神分析を位置づけた。これによって世紀転換期ウィーンの思想・芸術が女性のセクシュアリティーをめぐる共通した不安と欲望に支配されている状況が明らかとなった。 2.〈セクシュアリティー〉をめぐるフロイトの思想のうちに、〈装飾〉という主題と関係する要素を探求し、さらに文学・芸術における〈装飾〉や〈セクシャアリティー〉の表現の分析に対して精神分析の知見を反映させることを試みた。その結果、フロイトの精神分析における〈ファルス〉という表象が、ロースなどにおける〈装飾〉の表象と同じ機能を果たしていることが明らかとなった。 3.ここまでに明らかとなった、世紀転換期ウィーンの思想・芸術における〈装飾〉と〈セクアシュアリティー〉をめぐる論理と表象を、反ユダヤ主義などの当時の政治・社会状況との関連のうちに総合的にとらえ、その後のワイマ-ル文化におけるモダニズム芸術や、ナチズムを準備した社会思潮への影響を検討した。この作業はまだ続行中であるが、世紀転換期の女性恐怖がナチズムのパラノイア的な世界観に転化していく契機が第一次世界大戦の経験に見いだされた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 田中 純: "不可能な古代-アビ・ヴァールブルクにおけるイメージの病理学" 批評空間. II-13. 90-109 (1997)
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[Publications] 田中 純: "受苦的身体の自伝-アビ・ヴァールブルクの「蛇儀礼」講演をめぐって" 未来. 375. 2-9 (1997)
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[Publications] 田中 純: "われわれの〈時代〉とミ-ス" 建築文化. 610. 149-156 (1997)
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[Publications] 田中 純: "デミウルゴスの真理" 建築文化. 611. 125-132 (1997)
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[Publications] 田中 純: "時代意志とその亡霊" 建築文化. 612. 129-136 (1997)
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[Publications] 田中 純: "腐敗と決断" 建築文化. 613. 145-152 (1997)