1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610053
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
西村 貞雄 琉球大学, 教育学部, 教授 (30123946)
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Keywords | 意匠 / 形態 / 様式 / 独自性 / 美意識 |
Research Abstract |
首里城正殿の建築に付随する意匠・彫刻の形態や様式について解明する目的で取り組んでいる。 首里城は正殿・南殿・北殿・奉神門によって御庭を取り囲む形が、中国の紫禁城の太和殿や韓国の勤政殿、仁政殿等との空間構成や石積みの基壇等との類似性があることから、正殿の建物に付随する彫刻等の意匠にも同傾向の意匠が施されているように思われている。しかし、今回の調査研究を踏まえてみると、建物の意匠には、日本の建築様式との関係が見られる部分もあり、また中国等で見られるものがアレンジされていることもあり、独自のものに発展させている。 平成9年度では日本における禅宗様式を重点をおいて調査した。栃木県の日光東照宮、東京都の上野東照宮及び東村山の正福寺地蔵堂、京都府の大徳寺、金閣寺、南禅寺、妙心寺、天龍寺等を調査したが、檜皮(ひわだ)葺き、或いは銅版葺きの唐破風の形やそれに取り付けられた龍や獅子像等には共通した様式があった。首里城正殿の建物は、唐破風という型を取り入れて龍や獅子像等を独自に活用している。これに中国等でみられる宝珠双龍瑞雲文等の形式とを組み合わせて、旨くアレンジしていることから、見方によっては中国的にも見え、また日本的にも見えるので、迷いが生じる。そこには、首里城正殿独自の型や形があり、それを明らかにすることによって琉球王朝の美意識を理解するものと考える。 平成8年度及び9年度で調査研究したものの比較を通してまとめる。
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