1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
西村 貞雄 琉球大学, 教育学部, 教授 (30123946)
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Keywords | 意匠 / 形態 / 様式 / 時代背景 / 比較 / 独自性 / 影響 / 美意識 |
Research Abstract |
首里城正殿の彫刻の形態や様式について、意匠として解明しまとめることを目的とし取り組んでいる。 平成8年度は、中国建築様式をもつ長崎県の崇福寺、東明山興福寺、孔子廟と日本建築様式の神奈川県の円覚寺や建長寺、鶴ケ丘八幡宮を調査した。 崇福寺は、明の僧超然が開いた日本最古の黄檗宗の寺院で、大雄宝殿と護法堂を主に調査した。大雄宝殿(正保3年…1646年)の特徴は、軒回りの擬宝珠付き垂花柱、日本人棟梁により入母屋根上層に追加(天和元年…1681年)、黄檗建築特色がみられ、護法堂(享保16年…1731年)の特徴は、黄檗天井・柱上部籐巻・押肘木・鼻隠板・半扉・柱礎に梅花奇獣の浮彫等を調査することができた。 興福寺は本堂の大雄宝殿が修復工事のため調査はできず、媽姐堂のみ調査するが、黄檗建築の特徴は護法堂と類似していた。 孔子廟のなかの大成殿は1893年に建立されているが、原爆に耐えた建物である。儀門(本廟の正面玄関)は1982年に改築、屋根に特徴があり龍の棟飾や建物の正面に鎮座する獅子像を調査した。 鎌倉の円覚寺や建長寺等は禅宗様式をもつ代表的な建物であるため、山門・回廊・仏殿・法堂籐に付随する彫刻を調査した。 鶴ケ丘八幡宮においても獅子像等の調査に収穫があった。神社の形式や特色も掴めた。入母屋造りの屋根や唐破風、升組み、龍、獅子像、唐草文様等の形態や形状の調査ができた。 平成9年度は、上記の内容を分析し、更に文献との比較研究をして首里城正殿の建物に付随する彫刻の形態や様式を解明し、類似性や相違点、或いはアレンジした形、独自性についても考察する。特に龍柱については、今回の調査では収穫は無かったので、正殿の建物全体との兼ね合いを再度掘り起こしていきたい。
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