1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610102
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 英寿 東北大学, 文学部, 教授 (40002927)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 幸子 東北大学, 東北アジア研究センター, 助手 (70250652)
|
Keywords | シャーマニズム / 治療儀礼 / 沖縄 / ユタ |
Research Abstract |
シャーマニズムは東アジア一帯の基層文化を成し、日本では東北地方や沖縄諸島でその原形を保持する一方、都市部でも新宗教の教祖をはじめさまざまな名称・形態でシャーマンが広範に活動し、一種のカウンセラ-・治療者として危機や災厄に直面した住民に根強く受容されている。本研究では、社会心理学の観点から継続してきた沖縄シャーマニズムの調査研究を、収集済み資料を整理し最終課題を完遂させ、都市部の新宗教の知見を加味して集大成することを目的にし、以下のような成果をえた。 沖縄で収集しえたデータ(録音テープ、VTR、質問票)を整理・集計し、さらに1993年・94年にブラジルで収集した二世のユタが司祭するカルト「心霊教会」の集会と治療の観察記録を分析・考察できた。心身不調を訴えるクライエントに対するユタの診断・治療過程を、ラポールの確立しているユタの巫儀場面・治療儀礼場面をVTRに記録して分析し、信仰治療の心理-社会的メカニズムの解明を深め、沖縄本島の精神科病院をフィールドにして、ユタの信仰治療と現代精神科医療の双方に、同時的あるいは継時的に依存して心身不調に対処している患者を事例研究し、住民のシャーマニズムと現代医療への二重依存についての実態調査を深めることができた。これらの知見を従来の知見と総合させて、著書『沖縄シャーマニズムの社会心理学的研究』(弘文堂1998)として刊行することができた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 杉山幸子: "外来宗教と民俗宗教のダイナミックス-モルモン教徒の世代変化を中心に-" 宗教研究. 第71巻2号. 93-118 (1997)
-
[Publications] 大橋英寿: "沖縄シャーマニズムの社会心理学的研究" 弘文堂, 730 (1998)