1996 Fiscal Year Annual Research Report
視覚に障害を持つ幼児に対する白杖歩行訓練の有効性についての研究
Project/Area Number |
08610125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
山本 利和 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (20200826)
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Keywords | 視覚障害 / 歩行訓練 / 幼児 / 白杖 / 身体運動 |
Research Abstract |
視覚に障害を持つ幼児であっても移動経験が増すことで空間理解力や慰労能力が高まると予想される。つまり、移動に伴う衝突などの危険性をなくし、子ども自身が移動は不愉快なものではないことを分かるようになれば、視覚障害児の移動は一層増加し、視覚障害児の定位能力や移動能力が高まると考えられる。そこで、本研究では以上の効果を促進させるものとして、4歳から6歳にかけての視覚障害幼児に白杖歩行を導入し、その効果をみようとした。なお、白杖歩行技術としては幼児を対象としていることからタッチテクニックは用いず、杖をバンパー代わりに前に滑らせる方法だけを考えている。研究は扱いやすい白杖についての研究と、実際の指導という2つの方向から進められている。第1に使用する白杖の長さと石突きの形状をパラメトリックに変化させた実験をおこない、幼児の使いやすい白杖を検討しようとした。胸骨のほぼ中央を基準の長さとした長短と3種類の石突き(通常の石突き、マシュマロチップ、巨大マシュマロチップ)を組み合わせた杖を使い幼児で歩行実験を実施したところ、より長い杖の方が歩行の歩幅が広がり、やや歩行速度が速くなる傾向がみられた。また、巨大マシュマロチップは軽量化をはからなければ使用に不適当であることが示された。床材に変化を付けるなど、環境の変化と、幼児の歩行に適した白杖との関係が残された問題として指摘された。第2に、幼児に対する長期的な白杖使用では、歩行速度の増加と移動範囲の増加が認められた。しかしながら、この結果については、白杖使用の効果であったのか、成長の結果であったのかが不明確であった。
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