1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610174
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
深澤 健次 埼玉大学, 教養学部, 教授 (50165247)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福岡 安則 埼玉大学, 教養学部, 教授 (80149244)
|
Keywords | アイデンティティ / エスニシティ |
Research Abstract |
本研究二年度にあたり、われわれは、昨年度に引き続いて、あらたに、埼玉大学に在籍している外国人留学生(学部学生、大院学生、研究生)十数名に対して、個々の留学生の母語による、生活史的な聞き取り調査を実施した。 オーストラリアからの公費留学生とアジア諸国(主として中国)からの私費留学生では、対照的な留学生活をしている、という昨年度の知見は、本年度の聞き取り調査でも、基本的に確認することができた。日本への渡航費用にはじまり、来日後の学費、生活費に至までのすべてを、自ら捻出しなければならないアジアからの私費留学生は、留学生活の最初から大きなハンデを負っている。彼らにとって、アルバイトと学業の両立は安易ではない。むろん彼らが抱えるのは経済的な問題ばかりではない。日本人の外国、特にアジア諸国に対する無関心・無知・さらには偏見・差別意識は、彼らの生活を、精神的にも厳しいものにしているからである。インドといえばカレ-、オーストラリアといえばコアラしか話題にできない、また北朝鮮と韓国とを区別できない日本人学生には驚いた。長時間のアルバイトばかりでなく、このような日本人の知識、意識上の問題は彼らと日本人との交流を妨げる大きな要因となっている。苦労して来日しても、思うように日本人とコミニケーションをはかなれないとすれば、留学の意義も半減してしまうであろう。 本研究の最終年度になる次年度は、以上のようなアジア諸国からの留学生が抱える問題点を、より詳細に明確にすべく、聞き取り調査を継続しながら、収集したデータを整理するための枠組みを設定したうえで、報告書の作成に取り組む予定である。
|