1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
緒方 行廣 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (50147675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 泰伸 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (50199345)
相座 昭夫 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (20159255)
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Keywords | 異文化交流地域 / 中心-辺境関係 / 精度の立体構造 / 門中 / 御嶽 / 門割制度 / 共同店 |
Research Abstract |
本研究は自由貿易構想など現在の沖縄開発問題を視野にいれ、沖縄を異文化交流地域として規定し、異文化の交流から、歴史的社会的条件等を再検討して、その社会構造の変化を通して将来展望をみるのが目的であった。 そのテーマとして緒方は文化領域の境界、相座は言語、藤田は小集団からアプローチし、沖縄が東南アジアにおける「小型家産制国家」(矢野暢)と同じであるかどうか、どの文化の影響が大きいか、どのような特徴があるかを調べた。方法として文献調査・聞き取り調査を行ったが、数値化はせずケーススタディとした。 結果から言えば、沖縄は時間軸では異文化との接触の程度によって変化し、空間軸では日本本土との関係が最も強いにも関わらず、中国に保護された独立国として地域を保とうと努力したように見えるが、"・・・世(ゆ)"と呼ばれる時代区分は異文化交流区分と重なり、従属の歴史でもある。相座は言語と教育の関係が大きいという。 別の側面から見ると沖縄は異文化の狭間で揺れ動いてきた。歴史的にいえば上流層は中国姓を持ち、門中と呼ばれる父系制社会を形作るほどに中国に近づこうとしてきた。しかし、中・下流層は日本の古代社会に似た母系制的社会であり、御嶽を中心としたシマと呼ばれる地域社会を形成してきた。その上薩摩藩が税制上の理由で、門割制度を導入したため相互監視的な閉鎖社会構造をもっていたが、敗戦・占領・復帰で変化した。 また沖縄は那覇などの都市を中心とする領域と、山原地方・島嶼地域などの辺境となる領域の差が激しい。藤田によれば辺境を象徴する共同店の変遷は都市化における共同体の変遷と重なる。また、辺境においては「世俗化」の問題があり、都市化の問題と重なっている。 以上、沖縄は東南アジアの国々と同様の現在における諸問題を持つ地域であり、今後更なる研究が必要である。
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Research Products
(2 results)