1996 Fiscal Year Annual Research Report
介護費の社会化-生命保険リバースモ-ゲジ化の試み-
Project/Area Number |
08610209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka Sangyo University |
Principal Investigator |
原田 克己 静岡産業大学, 経営学部, 教授 (20049878)
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Keywords | 高齢化社会 / 介護費 / 生命保険 / 生前給付 / リバースモ-ゲジ |
Research Abstract |
高齢化社会を介護に要する負担をどのようにするか活発な議論が展開されている。高齢化社会のエ-ス商品として登場した民間介護保険もその導入時にはかなり注目と人気を集めたものの、その後は全く不人気商品となってしまっており、介護費の社会化議論のなかでもこれに着目する主張は全くない。現在の介護費の社会化をめぐる議論の帰趨はほぼかたまりつつあるといってよかろう。社会保障制度審議会に公的介護保険制度の導入を勧告し、老人保健福祉審議会も同様の答申を行っており、保険料や給付内容さらには介護保険の運営主体などかなり踏み込んだ議論がおこなわれている。しかも介護保険の負担及び運営主体でめぐる議論は一致点を見いだすことができず、その実施を先送りすることになってしまった。 もちろん介護費の社会化の着地点を社会保険システムに求めようとすること自体妥当な方向にあるといってよかろう。しかし介護サービスの内容と介護負担の問題はきわめて個別具体性をもち抽象的妥当性をもつ部分は少ないとみなければならない。当然介護労働のあり方にも検討が加えられなければならない。労働省は介護労働研究会を設定し、この問題に検討を加え、現在派遣労働に指定されていない介護労働を労働者派遣事業に加えることを提言している。これも公的介護システム導入をにらんだ提言といってよかろう。このように公的介護保険導入をにらんだ政策転換ないしは介護保険のための政策的地ならしは急速に進みつつあるといってよい。しかし公的介護保険制度によってどの程度のレベルの介護サービスを展開することが可能になるのか、そこまでの議論へ踏み込むにはまたかなりクリヤーしなければならない点が多い。
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Research Products
(1 results)