1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610243
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
善如寺 俊幸 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 助教授 (90226697)
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Keywords | 漢字文化圏 / 非漢字文化圏 / 文字教育 / 漢字教育 / 教育環境 |
Research Abstract |
漢字文化圏及び非漢字文化圏を問わず、広く世界の文字教育の方法を調査した。数か国の主に大学生を対象に個々が体験してきた文字教育の方法を調査するとともに、各国の初等教育に携わる教員もしくは教員経験者とのインタビューを通して文字教育の実態を探っている。これまで大学生を対象に比較的広範な調査を行ったのがオーストラリア、イタリア、中国(北部)、マカオ、インドで、初等文字教育関係者にインタビューしたのが日本、ブラジル、モロッコ、イギリス、シンガポール、アメリカ等々である。今後、調査結果の整理分析を進めていくかたわらアラブ圏及び台湾を含む中国南部における調査を続ける予定である。詳しいことは分析を待たねば判明しないが、各国各文化圏の文字教育の実態は当初予測していたものとさほど隔りはないようすである。非漢字文化圏においては文字数が少ないこともあって、とりわけ識学率の低い環境もしくは背景がない限り、字形より字音に力点を置いた文字導入がなされているようで、漢字圏にあってはほぼ問答無用の丸暗記を学童に強いているのが実情と見受けられる。ただ各々の国における教育的背景乃至環境が具体的に浮かび上がれば、それぞれの背景を担う留学生への日本語教育、分けても漢字教育の方法もおのずと的がしぼられようと推察するのである。これを基に暗記型のいわゆる受動的教育環境ではなく、むしろ能動的な教育環境に育った留学生(これは非漢字文化圏からの留学生にほぼ相応すると考えられる)に焦点を当てた漢字教育教材の開発を目指す。
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