1997 Fiscal Year Annual Research Report
地方公共団体と大学の設置形態に関する研究-財源問題を中心にして
Project/Area Number |
08610254
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
白石 裕 京都大学, 教育学部, 教授 (50025110)
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Keywords | 一部事務組合立公立大学 / 広域連合立公立大学 / 公私協力方式 / 大学設置 / 財源問題 / 行政責任 / 地域の活性化 / 地域のニーズ |
Research Abstract |
2ヵ年継続研究の最終年度にあたる本年度は、東京、博多、仙台、山形、函館、青森などの各地の国公立大学や研究所に調査旅行に出掛け資料収集を行うとともに関係者から聞き取り調査を行った。特に本年度は一部事務組合立の公立大学、広域連合立の公立大学を中心として調査を行い、それ独自では大学の設置が認められない一般市における大学設置の取り組みを調査した。その過程で広域連合立の公立大学が設置されるなど地域の実情に即した、より柔軟な対応を可能とする大学設置の方向があることが見出された。ただそこにおいても一部事務組合立の公立大学設置の場合と同じく、中心となる都市の財政的負担が圧倒的に多く、また市町間の予算事務も煩瑣で複雑であるという運営上の諸課題が見出された。ただこうした課題はあるにせよ、公私協力方式による私立立大学設置は公私大学の誘致に比べて財政的リスクも少なく、また地域の活性化につながるとの結論が導かれた。以上の公立大学を中心とした調査に加えて、公私協力方式により設置された私立大学の状況について奈良県、宮城県などいくつかの大学や県当局に出掛け、聞き取り調査を行った。その結果、地域のニーズ、特に地元の高校生の進学ニーズを充たしている大学、地元に生涯学習の機会を提供している大学は成功しているのに対して、地元のニーズに応えていない大学は次第に定員割れを起こしていることが見出された。後者の場合には地元住民から行政責任(アカウンタビリティ)を問う声があがっているところもある。以上のような本年度の調査も踏まえて2ヵ年にわたる調査をまとめて研究成果報告書を作成し、そこで地方に大学を設置する場合に財源問題が決定的に重要な要因であるとの結論を下した。
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Research Products
(1 results)