1996 Fiscal Year Annual Research Report
親のための自閉症児早期教育プログラムの開発とそれに基づく臨床的事例研究
Project/Area Number |
08610289
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai Women's University |
Principal Investigator |
白幡 富夫 東海女子大学, 文学部, 教授 (00162777)
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Keywords | 自閉症 / 早期教育 / ポ-テージプログラム |
Research Abstract |
自閉症は現在のところ、生理学的なレベルでの諸検査で診断を下すことはできない。したがって、自閉症の診断は子どもの行動を観察し、自閉症児に共通する行動特性を特定することによって行われなければならない。これまでさまざまな自閉症の診断基準が提唱されてきている。その中から、カナ-の診断基準(1949)、TEACCHプログラムのCARS(1971)、ロ-ナ・ウイングの基準(1976)、アメリカ精神医学会のDSM-III-R(1986)、世界保健機構のICD-10(1990)を取り上げ、比較検討した。 発達に遅れや偏りのある子とその親に対して指導・助言を行っている筆者は、短時間の観察と親からの聞き取りによって診断しなければならない。また、筆者にとって重要なのは評定ではなく、適切な指導・助言のための評価である。以上のことから、本研究においてはDSM-III-Rに基づく診断評価が有効であると推察された。DSM-III-Rによる診断を事例児(T.S.君)に試みた。まず、事例児の行動特性を(1)2歳半から3歳までと(2)3歳から3歳半までに分けて詳細に観察記述した。次いで、その結果をDSM-III-Rの基準に基づいて3群に分類し、基準の各項目毎に、○(明確に当てはまる)、△(部分的に当てはまる)、×(当てはまらない)の記号を付した。集計の結果、事例児の場合、A群は○が2個、△が3個、B群は○が2個、△が2個、C群は○が2個、△が2個、合計○が6個、△が7個であった。16項目のうち、少なくとも8項目該当することというDSM-III-Rの基準に照らせば、○の合計が6個であるから、事例児は自閉症とは断定できない。しかし、△が7個もあることから、自閉的傾向が極めて強いことがわかった。今後の指導方針を決めるための診断としてはこれで十分である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 白幡 富夫: "親のための自閉症児早期教育プログラムの開発(1)" 東海女子大学 紀要. 16. 185-195 (1997)
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[Publications] 白幡 富夫 編著: "生涯の教育-その本質を探る-" 東京法会出版, 198のうち25 (1996)