1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610293
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Research Institution | HIROSHIMA JOGAKUIN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松浦 正博 広島女学院大学, 生活科学部, 教授 (50116670)
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Keywords | 西欧中世大学 / 学位制度 / 試験 / バカラリウス / リンケンティアートゥス / マギステル / リケンティア / インケプティオ |
Research Abstract |
前年度に引き続き西欧中世大学の学位制度の成立過程を十三・四世紀パリ大学神学部を中心に考察した。特に、修学の過程及びその結果としての学位試験のあり方との関連から明らかにした。 先ずその予備作業として十三・四世紀パリ大学神学部の学位に関する規約及び宣誓条項を訳出するとともに学位試験に係わる語彙を整理した(temptativa、licentia docendi、inceptio)〔科研報告書に上記規約、宣誓条項訳出文を集録〕。 こうした作業と並行して神学部における学位取得状況を実態に則して明らかにするために1948年から1367/70年にかけて神学部の学生から「命題集バカラリウス」をへて「マギステル」学位を取得した学生の残した講義録(パリ国立図書館所蔵、写本番号lat.16408)を手がかりに修学と学位試験について明らかにした。〔・第41回日本教育史学会において発表した、テーマ「中世大学における学位の制度化と試験」、1997年10月12日。・大学史研究会第20回研究セミナーにおいて課題研究「様々な時代・様々な学位」のシンポジストの一人として発表した、テーマ「中世大学における学位のおごり」〕 なお、本研究をすすめるにあたり研究の焦点のおきかた、方法論等について、J.Verger(パリ第13大学教授、国際大学史学会副会長)及びCh.Vulliez(ランス大学中世史教授)から貴重な示唆を受けた(1997年8月25日〜29日)。 学位の制度化(成立過程)を、実態から明らかにするためには、今考察において触れられなかった十三世紀後半から十四世紀中葉にかけての学位の取得の様相をみなければならないが史料の収集に終わってしまった(パリ国立図書館所蔵、写本番号 lat.15652,15702)。 さらに学位の制度化と学位の効用(学位と社会=大学と社会)についても課題として残ることとなった。
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Research Products
(1 results)