1996 Fiscal Year Annual Research Report
九州南部離島における神楽とシャーマニズムの研究-北西部との比較を通じて
Project/Area Number |
08610318
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福島 邦夫 長崎大学, 留学生センター, 教授 (60189933)
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Keywords | シャーマニズム / 神楽 / 内待(ネ-シ) / 命婦(ミョウブ) |
Research Abstract |
本研究以下の三つの研究の方法として採用してきた。まず第一番目はシャーマン的職能者に対する面接、次に第二番目は神楽などの祭礼行事の観察、記録そして第三番目は文書記録の解読である。それらを総合して、シャーマニズムの歴史的背景を明らかにすることをめざして本年度の研究を行ってきた。申請者はいままでに主に長崎県を中心とする北部九州のシャーマン的職能者について、調査してきた。(平成元年度、および平成三年度科学研究費補助金による)しかし、まだ九州南部のシャーマン的職能者については調査を行っていない。本年度は鹿児島大学の下野敏見氏による先行調査に学びながら、九州南部離島におけるシャーマン的職能者に関する調査を鹿児島県、種子島、トカラ列島の口の島などで行い、内侍および命婦に関する、第一番目の項に記した面接調査をこころみた。第二番目の神楽などの祭礼行事の観察はトカラ列島の口の島の八月祭りで行い、また、対馬の和多都美神社でも行った。内侍神楽、および命婦神楽の写真、(文書記録もふくむ)ビデオなどの記録を得た。また、文書記録については早稲田大学の渡辺伸夫氏による先行調査に学びながら、古文書の専門家の教示を受け、解読を進めつつある。九州の北部と南部のシャーマン的職能者の比較、検討、総合はこれからの課題であるが、いずれも、第一に九州の修験道の影響を受けた形跡のあること、第二に男性司祭者である法者(対馬の場合)、ホンボ-イ、ジボ-イ(いずれもトカラ列島の口の島の場合)などと対になって神下ろしの神楽を行うこと、また第三に、病気直し、や女性の出産の場合に祈祷を行っていることなどの共通点がみいだされている。今後はさらに、範囲を広げた九州の北部と南部のシャーマン的職能者の比較、検討を行い、九州シャーマニズムの歴史的背景について明らかにしたいと考えている。
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