1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610349
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama College of Commerce |
Principal Investigator |
飯島 千秋 横浜商科大学, 商学部, 教授 (90151224)
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Keywords | 江戸幕府財政 / 幕府御米蔵 / 幕府御金蔵 / 幕府貯蓄米金 |
Research Abstract |
研究実施計画にしたがって、本年度は江戸幕府貯蓄米金関係史料の収集に力を注いだ。『徳川実記』『内閣文庫史籍叢刊』『東京市史稿』などの基本文献のほか、『いまいち市史』『岐阜県史』などをはじめとする多くの県郡市町村史類からも史料を抜粋、整理した。また、東北大学の狩野文庫、東京国立博物館の徳川宗敬氏寄贈文書、国立国会図書館・古典籍資料室、鹿児島県歴史資料センター黎明館などからも「佐州相川御金蔵御除金勘定帳」、「徳川時代財政雑考」、「諸入用元済」ほかの史料を採取した。さらに、勘定所関係史料の「川村清兵衛家文書」(新潟市郷土資料館所蔵)についても解読、筆耕をすすめた。 これまでの史料収集によって、江戸幕府の米蔵については、(1)浅草、本所、竹橋、浜、大坂(西の丸・玉造)、難破、二条、駿府、甲府、清水、今市、佐渡、長崎、大津、笠松、熱田などに設置されたこと、(2)江戸では、近世初頭には和田蔵、矢の蔵、北の丸、雉子橋、鉄砲洲、代官町などにも米蔵があったが、17世紀末から18世紀初めにかけて解体されたこと、(3)また、幾内の淀、伏見にはあった米蔵は1618・19年に大坂米蔵に吸収され、高槻米蔵(1615年設置)も元禄期には解体されたこと、(4)1752年設置の天王寺米蔵も1791年には難波御蔵に吸収されたこと、(5)1807年には、江戸の小菅に籾を貯蔵する蔵(=小菅納屋)が新たに設置されたこと、などが明かとなった 一方、幕府の金蔵については、(6)江戸、大坂、甲府、二条、駿府、佐渡に置かれたこと、(7)江戸には非常用金庫に相当する奥金蔵(1723年頃設置)と通常の出納を行う蓮池金蔵(1712年に切手門外の金蔵を移設)があって、留守居や勘定奉行が管理しいたこと.(8)蓮池金蔵には元方金蔵3棟、払方金蔵1棟がおかれ、元方、払方の2局がそれぞれ収納・支払を担当したこと、(9)しかし、1820年にはそれらが1局に統一されたこと、等々が判明した。
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