1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610358
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Research Institution | SANYO GAKUEN COLLEGE |
Principal Investigator |
池田 道人 山陽学園短期大学, その他部局等, 教授 (90269986)
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Keywords | 巌島 / 町割 / 門前町 / 港町 / 町家 / 社家 / 商人 |
Research Abstract |
3カ年に亘る厳島門前町の研究にあたって、必要史料の収集・分析によって研究成果をあげる計画を策定した。なかでも史料の中心となるものは、宮島町史編纂室が宮島町史刊行にむけて長年月かけて収集してきた膨大な量の史料であり、これを保管する厳島歴史民俗資料館収蔵庫において閲覧し、必要な関係史料を複写する作業を実施してきた。この作業により得られた史料の分析から研究成果をあげるべくつとめる計画であった。しかしながら、宮島町の財政危機によって編纂室が解散となり、収蔵庫の存続も危ぶまれてきたために(本年度中途において一旦閉鎖となる)、史料を分析して成果をあげることよりも、まず史料収集作業を中心に切り替える計画変更のやむなきに至り、当初計画していたような研究成果をあげることができなかった。 3年目にあたる本年は一応の成果として、「厳島町の構成-特に東町と有浦を中心として-」のテーマのもとに、本学紀要第29号に掲載することができた。これは、厳島町の構成は厳島神社を中心として大きく東西両町に2分割されているが、東西2分割の時期、東町という呼称をとる以前の東地域の有浦の状態、戦国期から江戸初期における厳島町の自治組織である惣の初出状況や、神社周辺地域の人家・仮屋の規制の様相、厳島神社周辺の環境整備の様子などを取り上げて、厳島町の基本的な存在形態の有り様を検討したものである。今回の科学研究費にあたっての「厳島門町の形成・発展・変容過程の研究」のうちの一端を成果としてとらえることができた。 今後早期に、文禄4年の「西町抱屋敷町割書立」の分析による厳島の西町の構成と形成・発展期の状況、元禄14年の「厳島町絵図」、天明3年の「天明絵図」の分析を進めて、東西両町の発展・変容期の状況を明らかにしたいものと考えている。
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Research Products
(1 results)