1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610365
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Research Institution | Institute of History and Anthropology University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小松 香織 筑波大学, 歴史・人類学系, 講師 (10272121)
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Keywords | 海運 / 海軍 / オスマン帝国 / 近代化 / 汽船 / 黒海 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近代オスマン海運の形成過程を分析することにより、オスマン帝国の資本主義的世界柱済への従属的包摂にともなういくつかの問題点を明らかにすることである。具体的には、(1)海軍の商業海運への関与、(2)海運の自立を阻んだ外国汽船との競合、(3)海運事業をめぐるムスリム・トルコ系軍人・官僚と非ムスリム系資本家・官僚との対立の3点に的を絞っている。本年度は研究期間の最終年度であるので、これまでに収集した史料の分析とそれに基づく成果の公表に重点を置いた。 まず(1)に関しては、オスマン帝国公文書およびオスマン海軍文書からオスマン海軍と官営汽船に関わる史料を抽出し、特に財政、経理関係文書を分析することによって、海軍の官営汽船経営の実態と、それがオスマン海運の発展を阻害していく構造を明らかにした。この成果は学術論文にまとめ『史学雑誌』上で公表した。(2)の問題については、黒海航路での外国汽船との競合問題をとりあげ、英国外交文書(領事報告書)にみる19世紀の黒海海運の動向と汽船航路の開設・発展のプロセスを分析することによって、この航路の特性を明らかにした。すでに昨年度Public Record Office所蔵の外交文書、議会文書、Maritime Museumの海運関係文書の中から、黒海航路に関する史料をデータ・ベース化し、史料集として公表した他、学会発表も行っているが、本年度においてはデータ・ベースをさらに補強すると共に、黒海航路に見られた外国汽船の盛衰とオスマン帝国内海運の動向との有機的なつながりについて論証し、『イスラム世界』誌で公表した。 (3)のテーマは20世紀初頭の官営汽船民営化問題におけるアルメニア商人・官僚の関わりについて東洋史研究会大会(1998.11.3)で「第二次立憲制期のオスマン海運-官営汽船の民営化をめぐって-」と題する報告を行ったが、今後さらに時代や領域を拡大していきたい。
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Research Products
(2 results)