1997 Fiscal Year Annual Research Report
帝国形成期におけるイギリスの植民地植物園と植物対策の研究
Project/Area Number |
08610387
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島田 真杉 京都大学, 総合人間学部, 教授 (10108962)
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Keywords | イギリス / 帝国史 / 植民地 / 植物園 / ジョージア |
Research Abstract |
18・19世紀のイギリス帝国形成期における、植物資源政策の立案と実施の実態を解明すること目的とした本研究の2年次は、とくに北米大陸での同政策の実施に着目し、ひろく植民地時代・合衆国時代にかんする同地域の歴史資料を収集するとともに、1730-40年代にフィランスロピーに立脚した特異な設置経緯を有するショージア植民地をケース・スタディのトピックとして選択した。同植民地建設財団によるいわゆるパブリック・ガ-デンの設営計画と、この計画に密接に連動した中米島嶼部・大陸部への植物採集者の派遣とに関して、ジョージア植民地史料集成である The Colonial Records of the State Georgia 既刊分32巻から関連する史料の堀り起こしを行なった結果、このような政策の実施に必要なインフラストラクチャーとしての植物園の設置と植物の移動・移植の計画とが一つのセットとなって植物資源のコントロールをはかるイギリスの一貫した植物政策の基本的なデザインが、ジョージア植民地設置と同時に構想され、その後の過程の原型をなしたこと、またジョージア植民財団の背後にあって政策立案に大きな影響力を行使した、地主貴族・科学者・企業家の集団が存在し、そこにおける発意が18世紀・19世紀をつうじて各種の自発的な機関(篤志団体)や政府系機関、政府部局へ継承される、その源流をなした事実が明らかになった。
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