1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610398
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Research Institution | NARA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
守山 記生 奈良大学, 文学部, 教授 (60068822)
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Keywords | フランドル伯 / プランシポーテ / シャルル・ル・ボン / ガルベール・ド・ブリュージュ / ティエリ・ダルザス / フィルップ・ダルザス / フリュージェ / ガン |
Research Abstract |
昨年の3月20に,以前に考えていたよりも相当早くに,研究史料の代表的なひとつであるガルベール・ド・ブリュージュの著書の翻訳を以下のようなタイトルで出版することが出来た。即ち,ガルベール・ド・ブリュージュ著,拙訳『ガルベールの日記-中世の領域君主と都市民-』である。今年度は,文献で1,2点重要な出版物を読み終えることが出来なかったけれども,「研究成果報告書」のまとめにかなりの力を投入した。タイトルは「フランドル伯の領域君主領の形成」である。その結果,12世紀の末頃までの中世フランドル史においては、フランドル伯の様々な分野でのイニィシャティブが徐徐に高まり,伯が領域君主領の形成に主導力をもち,アルザス家のティエリをフィリップのふたりの伯の支配の下で,従来からみられた伯の権力の最高潮のうちでもとりわけ最盛期をむかえたことが確認出来た。そしてもうひとつのフランドルのプランシポーテ形成の担い手である市民の盛り上りも単に1121年から28年までのフランドル史の危機においてだり高揚したのではなく,アルザス家,とりわけフィリップ・タルザスの強力な支配下においても,市民の諸要望に応じて伯が政策を打ち出すといった動向がみられたのは本研究の成果のひとつであった。最後に,今後の研究の課題と展開について述べておきたい。当研究の研究課題であった「フランドル伯の領域君主領の形成」という大テーマをもっと深く追求し,当研究をいろいろな分野で行った結果,浮かび上ってきたいくつかの中・小のテーマのひとつひとつをもっと説得的に掘り下げて研究して行くことによって,上述した大テーマをより構造的・動態的に明らかにして行く努力を続けたいと念じている。
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Research Products
(1 results)