1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08620016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福家 俊朗 名古屋大学, 法学部, 教授 (40083315)
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Keywords | 受益者負担 / 応能負担 / 累進税制 / 財政構造改革 / 公共料金 |
Research Abstract |
(1)本年度は、研究課題にかかわり、前年度の作業を踏まえて、とくに90年代以降の受益者負担的歳入構造の分析に力点をおいた作業を行った。研究目的にも記載したように、この受益者負担的歳入の範疇には、その機能や負担の法的実体から、消費税および累進性が緩和されたり累進性が意味をもたない直接税収入の中でも、本年度はとくに法人税の分析検討に力点を置いた。昨年来の抜本的法人税改革論議の中で、法人税の転嫁を理由にしたり、軽減を目的として廃止論が底流にあるため、負担のあり方に大きな影響を及ぼすからである。むろん、研究課題本題にかかわっては、現下の財政構造改革法の分析検討が重要な位置を占めた(研究発表参照)。 (2)研究方法としては、昨年度と同様に、負担と受益の双方の「関係」に着目した法的性格を明らかにして、市場原理と非市場原理の混在の実像の把握に努めた。とくに民営化と規制緩和によって、準公共料金ともいうべき負担構造が顕在化しているので、これに留意した。諸データーはパソコンを使用して処理し、OCR読取による文字情報化による利用可能な形態にした。本年度は、必要な最近の資料(諸答申や統計資料等)の入手先の政府省庁がインターネットでホームページを開いているので、その利用によって容易に入手できた。したがって、関連する政府省庁(大蔵省、自治省等)や各種審議会(財政制度審議会、社会保障制度審議会等)での資料収集やヒアリングの回数を減らした。 (3)なお、1997年11月29日〜30日に開催された日本租税理論学会において、本年度の研究成果の一部を「租税体系における法人税の位置づけ-法学的アプローチ」として報告した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 福家 俊朗: "「イギリスの行財政改革-地方自治の破壊と福祉国家の再編の行方」" 『国家改造と自治体リストラ』自治体問題研究所編. 123-141 (1997)
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[Publications] 福家 俊朗: "“The Restructuring Phase of Tax Law in Japan-an issue of legitimacy over more equitable and fairer system"" Changing Tax Law in East and Southeast Asia Towards the 21st Century. 後掲書. 163-194 (1997)
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[Publications] 福家 俊朗: "「財政改革と行政改革-国家構造改革の手法としての財政改革」" 『法律時報』. 70・3. 12-19 (1998)
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[Publications] 福家 俊朗: "「財政構造改革法の諸問題」" 『行財政研究』35号(行財政総合研究所). 35号. 1-8 (1998)
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[Publications] 福家 俊朗: "「法人税の法的性格と租税の法理をめぐる理論問題-法人本質論の相剋の実相」" 法政論集(名古屋大学法学部). 174号. 35-115 (1998)
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[Publications] Yong Zhang and Toshiro Fuke: "Changing Tax Law in East and Southeast Asia Towards the 21st Century,(The Public Law In East And Southeast Asia Series)" Kluwer Law International,the Netherlands, 295 (1997)