1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08620016
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福家 俊朗 名古屋大学, 法学部, 教授 (40083315)
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Keywords | 受益者負担 / 公的負担 / 公共財 / 財政の公共性 / 租税の法理 / 行政的制度改革 |
Research Abstract |
本研究は、1980年代以降の先進資本主義国で見受けられる、財源の効率的配分と負担の水平化および市場原理化(等価交換の法則にもとづく対価的負担の導入)の傾向に着目して、いわゆる受益者負担をめぐる法的問題をその対象となる行政の存在理由との相関関係(規制緩和や民営化また行政機構簡素化のいずれも、財政支出の大幅削減ならびに重点的配分および負担構造の転換によって実現可能な政策課題となっている)を明らかにしつつ、それを手がかりに行政経費の負担の論理における位置づけや意義をめぐる問題を整理し、より科学的な立法政策にも資する理論の提示を目的としている。 本年度は最終年度に当たり、過去二年度にわたって行った収集資料・文献の分析作業および理論的分析を踏まえて、まとめの研究を行った。本研究は歳入構造の変化の傾向についての法理論的分析を行うものであるが、行政の公共性との関係を重視しているように、それにとどまらない。どのような行政が行われるべきかという国民代表議会での精査と判断にもとづいて、それに必要かつふさわしい歳入や歳入の方法が選択されるべきことは当然のことであり、歳入構造は、当該歳入によって賄われる行政の質と量によって評価を受けるべきものであることはいうまでもない。行政の質と量の権利論からする法的精査が、歳入構造の法理論的検討と表裏一体の関係にあることになる。このような行政と財政の法的関係(相互依存関係または相互規定関係)に着目することによって、これらの新しい歳入に対する法的統制の可否・適否をめぐる法的問題を発見して、立法課題を提示した(別添『研究成果報告書』参照)。
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