1998 Fiscal Year Annual Research Report
日,米,スウェーデンの労働市場政策の比較政治学的考察:新制度論の観点から
Project/Area Number |
08620057
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
桐谷 仁 静岡大学, 人文学部, 助教授 (30225106)
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Keywords | 新制度論 / コーポラティズム / 国家 / 労働市場政策 / 労働組合 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、比較政治学における新制度論の展開についての考察を深め、比較のための分析枠組みの再検討を行う一方で、日、米、スウェーデンの労働市場政策の政策形成にかんする制度的編成について、とくにコーポラティズム論を踏まえて分析しようと試みた。 前者の新制度論の展開にかんする考察については、昨年度に続いて、国家-社会関係の制度的配置の重要性を指摘しつつ一連の論考「市民社会論の復権と「社会資本」の概念」を脱稿し、さらに新制度論が比較の方法論という点で旧来の行動論や構造-機能主義のアプローチとは質的に異なるものであることを論じた「新制度論をめぐる-考察-行動論ならびに機能主義との関連を中心にして」を発表した(裏面参照)。 こうした一連の論考のなかで、国家-社会関係の制度編成が比較政策研究を展開するうえで大きな意義をもつことをあらためて確認するのみならず、国家-社会関係を従来しばしば見られた国家対社会の二項対立図式で把握するだけでは不十分である点を示唆し、さらに社会の二重性、すなわち政治社会と市民社会という二つの次元を想定し、その両者を区別することで、政策形成の型を比較政治学的によりよく理解できることを主張した。 後者の日、米、スウェーデンの労働市場政策の政策形成にかんする制度的編成については、各国の関連データの収集とその解析をさまざまなかたちでおこなかったが、まだデーータの面や分析の点で不十分なところが、とくに米国について散見され、最終的な結論を導くには至らなかったが、最終年度でもあるので、日本とスウェーデンを中心にして暫定的な論考を報告書のかたちで公表した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 桐谷 仁: "市民社会論の復権と「社会資本」の概念:国家-社会関係をめぐるー考察(2)" 法政研究(静岡大学). 3巻1号. 163-179 (1998)
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[Publications] 桐谷 仁: "市民社会論の復権と「社会資本」の概念:国家-社会関係をめぐるー考察(3)" 法政研究(静岡大学). 3巻2号. 45-98 (1998)
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[Publications] 桐谷 仁: "新制度論をめぐるー考察-行動論ならびに機能主義との関連を中心にして" 法政研究(静岡大学). 3巻3・4号. 1-34 (1999)
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[Publications] 大木啓介: "国家と近代化" 芦書房, 367 (1998)