1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08630031
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小野 浩 北海道大学, 経済学部, 教授 (60109410)
|
Keywords | 再販売価格 / 独占禁止法 / 垂直的統合 / 流通コスト / 継起的独占 / 専売店 / テリトリ-制 / 公正取引委員会 |
Research Abstract |
再販売価格維持行為は製造メーカーが市場で何らかの独占力を所有している場合に生じやすい。通説では、再販売価格維持行為は垂直的統合のケースと同じに扱われることが多い。また、最近では返品制との関連で議論される。しかし、再販売価格維持行為が地理的状況とどう係わり合うかは十分検討されていない。本研究では、地域に散在するテリトリ-独占の小売業者、ないしは、全国に販売店をもつ独占的スーパーを考え、それらの間の関係で再販売価格維持行為が小売業者やスーパーにとってもよい場合が在るか否かを検討した。その結果、販売制による専売店と小売店が共存する均衡の存在することが示された。さらに、卸売業者の存在を明治的に導入すると、再販売価格を維持する行為をとるのは、流通コストが市場規模が大きくなるにつれて低減するような場合であることがわかった。しかし、このような再販売価格が独占的メーカーによって設定されると、これは小売業者が自由に価格を地域ごとに設定するよりも経済的厚生は小さいことがわかった。すなわち、再販売価格を設定して全国一律の価格が消費者にとってよいのではなく、地域ごとに変化しても、国民経済全体としては、経済厚生が高いことが演繹された。最後に、再販売価格維持行為を行うインセンティブが製造メーカーに存在するか否かを、実証的に検証した。しかし、流通コストの推計は非常に困難であるので、流通コストが低ければ、小売業者の利潤を増やし、小売業者の利潤はその販売額と正の関係にあると仮定すると、われわれは商業統計を利用して、自動車・化粧品・医療品、及び書籍の小売業の統計データをえることができる。自動車や化粧品・医療品に関してはメーカーは再販売価格を維持するインセンティブの在ることを見出した。しかし、書籍に関しては、有意な結果はえられなかった。
|
Research Products
(2 results)