1996 Fiscal Year Annual Research Report
本土復帰後の沖縄社会経済構造の研究-類似五県との比較分析-
Project/Area Number |
08630051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
松田 賀孝 琉球大学, 法文学部, 教授 (80044832)
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Keywords | 本土復帰後の沖縄社会経済構造 / 県民所得 / 産業連関表 / 基地経済 / 国際都市形成構想 / 規制緩和 / 経済特区 / 地方自治 |
Research Abstract |
本研究の目的は、本土復帰前の米国統治下を対象にした『戦後沖縄社会経済史研究』(東京大学出版会)に次ぐもので、復帰後の本県社会経済構造がどのような変容を遂げたか、また将来の自立的発展を推進するうえでどのような可能性があるかを検討することにあるが、そのためには、まず復帰後日本経済の中に組込まれた本県経済が国民経済全体の中でどのような機能を担い、他の類似県と比較してどのような特性を有しているかを的確に把握する必要がある。すでに類似県より産業連関表を始めとする統計資料を取り寄せ、計量分析を行っている。本県経済はかつて「基地経済」と呼称されたように、基地関係収入への依存度が極めて高い。従って経済構造の変容度を知る一つの重要なメルクマ-ルは、基地への経済的依存度の推移を考察することにあるが、「研究発表」欄記載の通り、端緒的成果をすでに公表したところである。本県では基地の全面返還を想定した「国際都市形成構造」を策定している。今日、国際化の大波がわが国に押し寄せているが、日本経済が今後さらなる発展を遂げるためには、躍進著しい東アジアとの国際取引が重要な鍵となる。本県は、その拠点として歴史的にも、地理的にも絶好の立地条件を備えているといえよう。現在、規制緩和の趨勢を背景に、全島自由貿易地域化をも射程に入れたフリーゾーン構想や本格的なハブ港建設構想、あるいは経済特区構想などが提唱されているが、本研究でもこれらの構想の実現可能性を吟味するための準備を進めているところである。とりわけ経済特区を実現するには一国二制度の導入が必要となり、そのためには、これまでの中央集権体制を根本的に改め、前例をみない思い切った分権制度を布くことによって、わが国の国家制度を抜本的に改革することが求められる。それゆえ、国際化時代の地方自治はどうあるべきかを問うことも本研究の重要なテーマであり、すでに稿を起こしつつある。
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Research Products
(2 results)