1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08630058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
辻 義昌 早稲田大学, 社会科学部, 教授 (30103617)
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Keywords | ロシア / 生活水準 / モスクワ |
Research Abstract |
[資料収集状況] 平成9年度における最大の収穫はモスクワ市の統計局(Mosgorkomstat)の生活水準調査課の協力でサンプル調査によるモスクワ市民の生活実態、特に消費生活の内容についての一次資料を入手できたことに尽きる。同統計局の集計課では国家統計局(Goskomstat)に送付すべきモスクワ市の統計データについて、国家統計局による月刊統計資料集『ロシアの社会経済状況』よりも少し詳しいデータを提供しているので、それらも過去1年間の研究に大いに役立った。 [生活水準調査の分析] 顕著なことは、総所得のうちどれだけの割合を最富裕の2割の人々が取っているかというデータが全ロシアでは1992年を別にすると46%台で安定しているおり、ジニ-係数も0.375と先進国並みの正常値を示しているのに、モスクワ市では最富裕の2割の人々がとる割合が72.2%に達し、ジニ-係数も0.682と全く異常な値を示していることである。 モスクワ市統計局の家計調査課は独自の調査員を使って秘密の調査を行なうところである。同課が作成した1997年第I四半期分の所得調査のデータから言えることは、 1.ヤミ給与が家計では単なる賃金収入とされている。しかもそれほど多くない。 2.その他の収入は年金を別にするとネグリジブルである。 3.家計収入であるから、家族が多いほど収入が多いと予想されるが、事実は総所得で2人家族の2,627千ルーブリが最も多く、4人家族以上の世帯は単身者の家族よりも総収入が少ない。(年輩の人ほど低賃金職場を離れていない) 家計調査の対象から漏れたごく一部の人々に所得が遍在していることが明白である。また、民間企業の大部分の人々が93年以降着実に改善されていることも実証できた。
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