1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640368
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松柳 研一 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70025451)
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Keywords | 超変形核 / 高スピン状態 / 八重極変形 / エキゾチック変形 / シェル構造 / 不安定核 / クランキング模型 / 回転バンド |
Research Abstract |
1.稼働し始めた新しいガンマ線多重測定器システム(米国BerkeleyのGammasphere,フランスStrasbourgのEurogam)を用いた高スピン・スペクトロスコピーによって、この1-2年の間にA【approximately equal】190(Hg、Pt領域)超変形核のイラスト回転バンドの上の励起バンドが続々と発見されつつある。これらの高スピン回転バンドの動力学的慣性モーメントは、通常の「回転座標系シェルモデル」では説明できない奇妙な性質を示している。我々は「回転系でのRPA近似」に基づく微視的モデルを展開し、空間対称性と軸対称性を同時に破るY_<32>型の表面変形振動モードと回転整列した準粒子モードの競合によって、これらの実験データ(^<190>,^<192>,^<194>Hg,^<194>,^<196>Pb)の主要な特徴を矛盾なく統一的に説明できることを示した。更に、周辺の超変形核に対する幾つかの理論的予測を与えた。我々は、高スピン超変形核に特有なシェル構造の下では、通常変形核とは異なる性質を持った八重極型の集団励起モードが現れる可能性があることを理論的に示唆してきたが、超変形Hg,Pbアイソトープの励起バンドは、これに対する初めての実験的証拠と考えられる。 2.空間反転対称性を破った軸対称変形キャビティに閉じ込められた粒子の量子スペクトルのシェル構造(固有値分布の揺らぎに現れる規則的な振動パターン)を変形度の関数として系統的に調べた。その結果、四重極変形と八重極変形の一定の組み合わせで、新しい顕著なシェル構造が形成されることを見つけた。その動力学的起源を探るため、非可積分ハミルトン力学系に対する半古典論(周期軌道理論)および、スケール系に対するフーリエ変換の方法を用いて、周期軌道の性質の変形パラメータ依存性を解析した。その結果、赤道面上の三角形と四角形の周期軌道群から三次元周期軌道群が分岐する分岐曲線の近傍で上記のシェル構造が急激に成長していることが分かった。この結果は原子核やマイクロクラスターなどの有限量子系にエキゾチック変形が現れる新しい機構を示唆している。すなわち、四重極-八重極変形パラメータ空間内のこの種の分岐曲線の近傍で顕著なシェル構造の形成と、それに伴う結合エネルギーの利得を期待できる。
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Research Products
(1 results)