1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640522
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 輝夫 東京大学, 地震研究所, 教授 (10114696)
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Keywords | 亀裂 / 破壊 / 相互作用 / 断層 |
Research Abstract |
地震の規模は、地震破壊がどのように停止するかということに密接に関係している。したがって、来るべき地震の規模を精度良く予測するためには、その停止機構について十分な考察を行う必要がある。 最近の大地震により生じた地表断層を見れば、例外なく、きわめて不規則な形態をなしている。例えば、不連続な場合もあり、分岐をなしている場合もある。本研究では、特に断層形態の複雑さと破壊停止機構の関係について数理的考察を行いつつある。 破壊の動的成長を扱う従来の数理的手法は、ほとんど全ての場合、直線状の破壊を取り扱うものである。そこで、まず、破壊の動的分岐、曲がりや破壊要素間の動的相互作用などを扱うための数学的手法の開発を行った。我々が開発した手法は表現定理を基本としているが、その要点は、数学的特異点の除去と破壊面に沿う局所座標系を用いて境界条件を積分形で表現したということにある。これにより具体的問題を比較的容易に取り扱うことができるようになった。 破壊が動的分岐を起こした場合の亀裂先端の応力拡大係数を、この手法で計算したところ分岐の開始後、減少を始めることがわかった。直線状の孤立破壊の場合これは決して起こり得ないことである。また、分岐亀裂の密度が大きいほど応力拡大係数の減少の程度は大きい。最近の精度の良い実験では、動的亀裂の分岐はきわめて一般的に生じることがわかってきたが、地殻浅部でも同様なことが生じ地震破壊の停止に寄与している可能性は大きい。この計算では、一定破壊伝播速度を仮定しているため破壊伝播停止の問題を定量的に考察するにはいたっていない。今後は、非定常伝播の場合を考察し、さらに媒質の力学的性質の空間的不均質の効果も考察する予定である。
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