1996 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸部及び平野部に流入する夜間冷気流の乱流構造とその季節変化
Project/Area Number |
08640547
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
千葉 修 高知大学, 理学部, 教授 (00036576)
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Keywords | 夜間冷気流 / 陸風 / 安定大気 / 下層ジェット / 重力流 / フロント / 局地風 / 山谷風 |
Research Abstract |
日没後土佐湾からの海風が衰退し,山間部に発現域を持つ夜間冷気流が高知平野及び沿岸部に流入する時の乱流構造を調べた。乱流観測は沿岸部のABO(高知大学大気境界層観測所)と平野部の舟入(フナイリ)の2点で実施した。物部川流域に沿って北東方向から流下する冷気流のパターンは主に2つに分けられる。つまり上層の地衡風が弱く晴天な夜間安定大気中で、一つは平野部ですでに発生した陸風を後方から流入する冷気流と、顕著に識別できない陸風と冷気流が一体となった流れである。出現頻度として前者の方が多い。舟入とABOの観測機器(音波レーダー,超音波風速温度計,その他の気象機器)で観測された冷気流の特徴は,先ず低高度にジェット型の風速鉛直分布(重力流の特徴の1つ)が見られること,冷気の流入が周囲流に影響を及ぼし風向変化と同時に気温の急低下,風速の増加そして水蒸気量の増加がほぼ同時刻に観測された。冷気流は地表面をはう薄層にかかわらず安定な大気を乱し大気と地表面との間に運動量,熱量の混合を促進させる。この振る舞いと冷気の流入特性(フロントの様相とフロント後方の周期運動)は音波レーダーのファクシミル画像でも確認された。さらに谷地形出口に近い舟入では気温変化を通して断続的な冷気塊の流入が観測された。今後,観測点を増やし科研費で購入した可搬型の自動気象ステーションを駆使し,冷気発源域から風下にあたる沿岸部までの流路に沿った流れの過程と冷気流の季節変化を究明する。
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