1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640550
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Research Institution | HIROSHIMA WOMEN'S UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宮田 賢二 広島女子大学, 生活科学部, 教授 (30084156)
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Keywords | 盆地霧 / 盆地冷却 / 霧予報 / ビデオ観測 / 三次盆地 |
Research Abstract |
研究は、昨年度に引き続き、盆地霧の発生機構を解明する基礎として盆地霧の広域的な実態の観測を行うとともに、盆地霧の発生機構に基づく実際的な霧予報方法の確立を課題として行い、以下のような結果を得た。 盆地霧の実態については、広島県の三次盆地を対象として盆地の広い範囲の霧の実態を夜間も含めて長期間・連続的にとらえるために、ビデオカメラによる観測装置を設置して観測を行ってきた。また霧観測データとして高速道路での霧情報も引き続き入手し解析に用いている。これらのデータの解析によると、山頂から確認された霧はほとんど全てが霧の海タイプのもので、そのうち地上まで発達したものは全体の約60%で、残りの40%は上空に層雲的に発生することがわかった。秋は前者が多く、ほかの季節は両者がほぼ同じ割合で発生していることもわかった。これらの結果は前にも得られていたが、さらに明確に確認できた。 霧予報については、盆地で霧が発生するような夜間は逆転層が発達し、盆地内の空気の交換は少ないという観測事実に基づき、日没後の時点と早朝時に空気中に含まれる水蒸気量の差がその間の凝結量に関係し、この凝結量が霧の発生の有無や発達度と関係するという考えに立脚した予報方法について検討した。具体的には気象庁の領域モデルによる数値予報資料を用いて凝結可能量を求め、この量と霧発生データとを対比して、霧発生条件を得るという予報方法について検討した。その結果、予想したような明確な関係は得られなかった。そこで前提条件ともいえる盆地内の空気の交換の有無を上層風速の大小によって調べたところ、風速が弱い場合には盆地の閉鎖性を示す結果が得られたが、凝結可能量と霧との間の明瞭な関係は見出されなかった。今後は一般場に関する条件による選別と今回行ったような考え方とを組み合わせた方法を考える必要がある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 宮田賢二: "盆地霧の予報に関する研究" 例会講演要旨集(日本気象学会関西支部). 第77号. 11-12 (1996)
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[Publications] 宮田賢二: "盆地霧の実態とその発生機構について" 局地気象研究会講演論文集(日本農業気象学会). 第13号. 13-22 (1997)
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[Publications] 宮田賢二: "ビデオカメラによる三次盆地の霧の広域観測" 例会講演要旨集(日本気象学会関西支部). 第81号. 25-27 (1997)
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[Publications] 宮田賢二: "盆地霧の予報に関する研究" 例会講演要旨集(日本気象学会関西支部). 第81号. 28-31 (1997)
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[Publications] 宮田賢二: "内陸に発生する霧の実態" 日本気象学会1998年度春季大会講演予稿集. 74(発表予定). (1998)