1996 Fiscal Year Annual Research Report
ニューラルネットワークを用いた化合物の構造活性相関とその特徴の研究
Project/Area Number |
08640639
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
長嶋 雲兵 お茶の水女子大学, 理学部・情報科学科, 教授 (90164417)
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Keywords | ニューラルネットワーク / 構造活性相関 / 発ガン性 / 再構築 |
Research Abstract |
化学物質の構造とその活性の間には線形で記述できないような複雑な因果関係があることが広く知られている。これを化学物質の構造活性相関という。従来これらの非線形的因果関係の解析には主に重回帰分析が用いられてきたが、もともとこの相関は非線形性が強いので、従来の線形の関連を期待する統計的手段を適用するには限界がある。本研究では生体の有する高度な情報処理プロセスをシミュレートするニューラルネットワークの特徴である非線形的な動作に注目し、その化学物質の構造活性相関への適用と展開を目的とする。 平成8年度は分子の構造とその生理活性の相間にある非線形性をまともにとり扱うためのニューラルネットワークシミュレータを本格的に構築した。用いたニューラルネットワークモデルはパーセプトロン型と呼ばれるものである。ニューラルネットワークは複数のニューロンと呼ばれる構成素子からなり、このニューロンの結合方式の違いにより様々な種類がある。パーセプトロン型ニューラルネットワークは入力層・中間層・出力層の多層からなる階層型ニューラルネットワークであり、入力に対して望ましい出力結果を教師データとして与えることにより、入力と出力の因果関係を学習する。本研究では化合物の構造を表すパラメータを入力データ、生物活性データを教師データとみなしパーセプトロン型ニューラルネットワークの適用を可能とした。作成したシミュレータを用いて、ノルボルナン類の化合物の構造活性相関の研究を行った。 また従来のニューラルネットワークを用いた研究は入力と出力の因果関係の解析が十分に行われているとは言えず、入力データの学習結果から入力と出力の因果関係を明らかにすることを試みた。ニューラルネットワークの偏微分方程式的な記述をもとにした再構築学習法とパラメータスキャン法を用いて、ノルボルナン類の化合物の構造活性相関の因果関係の解析を行なった。これらの方法の詳細については現在The Journal of Chemical Software誌に投稿中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 長嶋雲兵: "振幅と周期が時間とともに変化する時系列データのニューラルネットワークによる予測" IPSJ Sig Notes. 96-HPC-63. 13-18 (1996)
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[Publications] 長嶋雲兵: "Si:2p core-level photoexcitation and photoionization of organosilicon molecules" Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena. 79. 499-502 (1996)