1997 Fiscal Year Annual Research Report
半導性バナジン酸塩ガラスの構造緩和と電気伝導度の相関
Project/Area Number |
08640743
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西田 哲明 九州大学, 理学部, 助手 (10112286)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 米蔵 九州大学, 理学部, 教授 (30037262)
原 一広 九州大学, 工学部, 助教授 (00180993)
市川 聡夫 九州大学, 理学部, 助手 (30223085)
|
Keywords | ガラス半導体 / 構造緩和 / 結晶化 / 電気伝導度 / 化学結合の切断 / メスバウアー分光法 / DTA / 磁化率 |
Research Abstract |
ガラスを熱処理するとガラスマトリックス中にナノメートルサイズの結晶微粒子が析出し,結晶化ガラス(ガラスセラミックス)となる.このとき電気伝導度や磁性,光透過性などが顕著に変化する.その際の構造変化のメカニズムを解明し,さらに構造と機能性の相関を明らかにする目的で幾つかのニューガラスのメスバウアー,赤外吸収,磁化率,X線回折およびDTAを行い,以下の結論を得た. 1.半導性バナジン酸塩ガラス(25K_2O・65V_2O_5・10Fe_2O_3)を結晶化温度(Tc)付近で10〜30分間熱処理すると,構造緩和により電気伝導度が10^<-8>S・cm^<-1>のオーダーから10^<-4>S・cm^<-1>のオーダーまで上昇する.熱処理時間が長くなると絶縁体の結晶相が析出するため,電気伝導度は次第に低下する. 2.アルミン酸塩ガラス(60CaO・27Al_2O_3・13Fe_2O_3および60CaO・10BaO・17Al_2O_3・13Fe_2O_3)を熱処理すると反強磁性のフェライト微粒子(Ca_2Fe_2O_5)が析出するため,赤外透過率と磁化率が減少する. 3.これらのニューガラスの結晶化に要する活性化エネルギーは骨格を構築するユニットの結合エネルギーに等しく,Ca-OやAl-O結合の切断により結晶化が始まると考えられる.またFeO_4が骨格を構築する場合はFe-O桔合が優先的に切断され,鉄を含まないガラスよりも活性化エネルギーが小さくなる. 4.ガラス転移温度(Tg)がガラス骨格のひずみの大きさに比例するとする,″Tg-Δ則″(1990年に西田が発見)を検証するため種々のケイ酸塩ガラスをTg付近で適度に熱処理してDTAとメスバウアースペクトルを測定すると、構造緩和により骨格を構築するSiO_4およびFeO_4四面体のひずみが小さくなり,予想どおりTgが低下する. 5.これまで″Tg-Δ則″の成立が確認されている無機ガラス中の鉄濃度はせいぜい数モル%程度であったが。高濃度(〜30mol%)の酸化鉄を有する「フェライトガラス」でも″Tg-Δ則″が成立する.
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] T.Nishida: "Verification of the ″Tg-Δ Rule″in Sodium Tungstate and Potassium Silicate Glasses" Zeitschrift fur Naturforschung. 51a巻. 620-626 (1996)
-
[Publications] S.Kubuki: "Application of the IR Transmission Method and the Mossbauer Effect to the Crystallization of Calcium Gallate Glass" Journal of Non-Crystalline Solids. 209. 87-95 (1996)
-
[Publications] T.Nishida: "Crystallization Mechanism of Aluminoferrate Glass Accompanying a Precipitation of Nanocrystals of Dicalcium Ferrite (Ca2Fe2O5) ・・・" Journal of Materials Chemistry. 7巻9号. 1801-1806 (1997)
-
[Publications] S.Kubuki: "Mossbauer Study on the Crystallization of IR-Transmitting Aluminate Glasses" Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry. (in press).
-
[Publications] T.Nishida: "Application of the ′Tg-Δ Rule′to the Local Structural Study of Ferrate Glasses" Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry. (in press).
-
[Publications] T.Nishida: "″Mossbauer Spectroscopy of Sophisticated Oxides″" Akademiai Kiado(Budapest), 340 (1997)