1997 Fiscal Year Annual Research Report
フェノチアジン系化合物をメディエータとして用いる酵素機能電極に関する研究
Project/Area Number |
08640780
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松田 十四夫 立命館大学, 理工学部, 教授 (50066677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 晴樹 立命館大学, 理工学部, 助教授 (30140122)
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Keywords | フェノチアジン固定化電極 / ボルタンメトリー / アルコール脱水素酵素 / アルコール / アルデヒド脱水素酵素 / アルデヒド類 |
Research Abstract |
電気化学的に定量分析が困難な化合物を、酵素機能を付加した電極により定量しようとする研究が多くある。本研究もその領域に属するものであり、過去の研究で不十分であったり取り残された問題を解決する手段の一つとして位置づけられるものである。 フェノチアジンのアセトニトリル溶液をメンブランフィルター(PTFE系フィルター;ポアサイズ1μm)に10μL滴下し風乾後、グラッシーカーボン電極表面にそれを取り付けることによりフェノチアジン固定化電極(PME)が作成できることを明らかにした。PMEに含浸したフェノチアジンは、+200〜300mV vs.SCEで電解酸化を受けるが、この時の酸化生成物により、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)が酸化され、フェノチアジンの酸化電流が接触的に増大し、良好なNADHセンサーとしてPMEが機能した。また、NAD^+を補酵素とする酵素反応を組み合わせることによりアルコール、アルデヒド類の定量が可能であった。このアルデヒド類センサーは、メディエータであるフェノチアジン以外にアルデヒド脱水素酵素(ALDH)とNAD^+をメンブランフィルターに含浸したもので、6種のアルデヒド類を定量可能なものであった。このように簡便に作成できるセンサーの応用範囲を拡大することを目的に、その酸化・還元部位がフェノチアジンに類似したメルドラブルー修飾電極についても検討した。メルドラブルーは、NADHにより容易に還元され、その酸化電流を測定してアルデヒド、アルコールの定量を試みた。その結果、PMEと同様に0.1〜3mMの基質の定量が可能であり、アスコルビン酸等の妨害を受けないことが明らかになった。 メンブランフィルターにメディエータと酵素を含浸するだけで、酵素機能を有する修飾電極が容易に作成できることが明らかとなり、今後のセンサー構築に大いに貢献するものと思われる。 なお、これら得られた成果の一部について、現在投稿準備中である。
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