1996 Fiscal Year Annual Research Report
希土類-鉄金属間化合物の鉄副格子の磁性についての研究
Project/Area Number |
08650016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
神森 達雄 愛媛大学, 理学部, 助教授 (40136304)
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Keywords | 磁性 / 金属間化合物 / 鉄副格子 / キュリー温度 / 体積効果 |
Research Abstract |
希土類2鉄17金属間化合物は格子間に窒素を侵入させることによりキュリー温度が上昇することが知られている。この原因としては格子の膨張によるものとするのが一般である。研究代表者はこの金属間化合物の鉄を磁性を持たない珪素等で置換するとキュリー温度が上昇する機構を解明することに興味を持っている。 置換による格子の大きさの変化によるキュリー温度の変化も見積もるために希土類に非磁性であるイットリウムとそれより少しイオン半径の小さい同じく非磁性の希土類元素であるルテチウムを選び、(イットリウム・ルテチウム)2鉄17金属間化合物を作製した。ここでイットリウムとルテチウムの割合を変化させると格子の体積を僅かに変化させることが出来る。この条件でキュリー温度を測定した結果鉄副格子のキュリー温度の格子体積変化による変化分を求めることが出来た。その結果非磁性元素で鉄を置換した場合のキュリー温度変化から格子体積による変化分を分離することができ、置換による変化分を求めることができた。また窒素侵入によるキュリー温度上昇は400K程度であるが、体積増加に対応するキュリー温度の増加はわずか100Kであることが判明し、窒素侵入によるキュリー温上昇を体積増加によるものとする一般的解釈が間違いであることがわかった。 侵入元素としては炭素の方が発見は早かったが炭素によるキュリー温度上昇は窒素より小さく注目されていなかった。研究代表者は極微量の炭素(希土類2鉄17炭素0.0015)により結晶が六方晶から菱面体へ変態を起こし磁気異方性に変化が起こることを以前に発見した。今回の研究でさらにキュリー温度も菱面体変態で上昇することが見いだされた。現在論文執筆中。
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