1996 Fiscal Year Annual Research Report
光反射分光法によるタングステン表面吸着系の電子状態の研究
Project/Area Number |
08650030
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
田中 正俊 横浜国立大学, 工学部, 教授 (90130400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織田 晃祐 横浜国立大学, 工学部, 助手 (90282954)
宇佐美 誠二 横浜国立大学, 工学部, 教授 (40017877)
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Keywords | 表面電子状態 / 反射分光 / マルチチャンネル測定 / 表面誘電率 / 金属表面 / 化学吸着 / タングステン / 酸素 |
Research Abstract |
本研究の目的はブルースター角付近の二つの入射角でp偏光反射率の変化を測定して、表面に平行な電場に対する表面層の複素誘電率変化Δε_t=Δε_<1t>-iΔε_<2t>を決定し,Δε_<2t>から吸着によって誘起或いは抑制される表面の電子状態について知見を得ることである。 まず,1024チャンネルのダブルフォトダイオードアレイを用いてリアルタイムで吸着過程の反射スペクトル変化を測定する系を構築した.これにより,可視領域(1000-400nm)では分解能2.4nmで0.2s程度,紫外領域(400-210nm)では分解能6nmで2S程度の露光でも,0.1%の反射率変化を測定できるようになった。 W(100)の酸素吸着過程では,露出量と共に変化するΔε_<2t>スペクトルが測定された.0.5MLの被覆率において,光電子分光,逆光電子分光の結果から測定された抑制或いは誘記される電子状態に良く対応する結果が得られた.表面電子状態の異方性を検出するためには,当初の計画を変更してW(112)の酸素吸着系を用いた.W(100)の酸素吸着系とは異なるΔε_<2t>スペクトルが得られ,面方位によって表面電子状態が異なることが示された。しかし、回転型ホルダーで試料を清浄化することに成功しなかったので,W(112)面で異方性を検出するには至らなかった.W(112)の酸素吸着系では電子分光の結果が得られていないので,詳細な議論をするために現在バンド計算をおこなっている. 本研究で使用した光反射分光法を用いれば,吸着過程における表面電子状態の推移がリアルタイムで明確に捕らえられるので,今後様々な表面吸着系の研究への適用が期待される。
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Research Products
(1 results)