1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650169
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
金子 覚 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (90161174)
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Keywords | ダンパシール / ハニカム形状 / 孔深さ / 漏れ流量 / 動的流体力 / 動特性係数 |
Research Abstract |
本年度は,シールしゅう動面にハニカム形状(六角形)の孔を有するダンパシールを用いてその静特性および動特性を実験的に解析した.孔の深さの異なる三種類のダンパシール[ダンパシールI(孔深さ:300μm),ダンパシールII(孔深さ:400μm),ダンパシールIII(孔深さ:500μm)]と,ダンパシールのランド部とほぼ同じすきま(178μm)を有する平行環状フラットシールを用いて実験を行った結果,以下の点が明らかになった. 1.同じ条件のもとでは,ダンパシールの漏れ量は平行環状シールの約2/3に減少した.また,ダンパシールでは孔の深さが大きい程漏れ流量が減少した. 2.ダンパシールIIの偏心方向流体力は負となりその大きさは平行環状シールに比べて大きくなった.したがってダンパシールIIは平行環状シールに比べてロータのふれまわり振幅を小さくする力が大きい. 3.いずれのダンパシールも接線方向流体力の大きさが平行環状シールよりも大きく,ふれまわり運動を抑制する力が大きい.また,ロータのふれまわり方向と接線方向流体力の方向が一致するふれまわり速度比Ω/ω(Ω:ロータのふれまわり角速度,ω:ロータの自転速度)の範囲(不安定領域)は,ダンパシールII,IIIが平行環状シールよりも狭くなった. 4.主対角減衰係数C_<xx>はいずれのダンパシールも平行環状シールより大きくなった.平行環状シールのC_<xx>に比べてダンパシールI,IIは約50%の増加,またダンパシールIIIは約30%増加した. 5.主対角ばね係数K_<xx>はダンパシールIIが平行環状シールより大きくなった.また連成ばね係数K_<xy>の大きさはダンパシールII,IIIが平行環状シールよりも小さくなった. 6.以上の結果より,漏れ特性に関してはすべてのダンパシールが,またロータの安定性に関しては特に孔深さ400μmのダンパーシールIIがそれぞれ平行環状シールよりも優れた特性を示した. 7.6の結果より,ダンパシールのしゅう動面に設ける孔の深さには最適な値が存在することが明らかになった.
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