1997 Fiscal Year Annual Research Report
電磁石を用いた磁場制御による磁性流体アクティブサスペンションの基礎研究
Project/Area Number |
08650347
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
中川 聡子 東京電機大学, 工学部, 教授 (70134898)
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Keywords | アクティブサスペンション / 磁性流体 / ハミルトンヤコビ不等式 / 非線形制御 |
Research Abstract |
アクティブサスペンションを車両に搭載することは、車両軽量化や高速運転化によって生じる乗り心地の問題を解決する効果的な方法であることから、近年各方面で検討がなされている。 アクティブサスペンションを構成する要素として通常用いられているものに、油圧や空気圧式のものがある。しかし、前者は火災時の危険性が、そして、後者は応答性や騒音などが問題視されている。また、両者に共通して現場サイドが懸念していることの一つに“力制御"の問題がある。すなわち力を加減するタイプのアクチュエータでは、一旦制御が破綻した場合、乗り心地改善はおろか、異常な指令により車両が“暴れ出す"危険性があるということである。 そこで、磁性流体が磁場により粘性を変えることに注目し、シリンダに封入した磁性流体に電磁石による指令磁場を与え、連続的に粘性を制御することによりサスペンションのダンピングを変え、防振効果を持たせるというリニアアクチュエータを提案した。これは、一旦制御が破綻しても正のダンピング要素を持つ単なる液体中のピストン運動であることから前述のように車両が“暴れ出す"危険性はない。また単なる電磁気回路のみによる運動制御であることも特長の一つである。 本研究では、磁性流体の電磁石電流対粘性特性を示し、次に本システムの運動方程式及び電磁気特性式を記述したのち、それら非線形方程式を定常点まわりで線形化し、通常の線形補償器設計手法の導入が不可能となることを示した。その上で、ハミルトンヤコビ不等式を用いた非線形制御手法により非線形補償器を求め、これを導入した場合の効果をディジタルシミュレーションにより確認した。これにより、振動を制御するには、通常なされるような高ダンピングシステムの構築だけでは不十分であるということを示した。最後に、実際に加振実験を行い、本論文で提案するシステムが十分な制御効果を持つことを確認した。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] 有森 仁勇: "車両の弾性も考慮した乗り心地改善に関する研究" 「電磁力関連のダイナミックス」シンポジウム. 199-200 (1997)
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[Publications] 石井 尚弥: "H^∞制御を用いた鋼板磁気浮上装置のロバスト制御" 「電磁力関連のダイナミックス」シンポジウム. 401-402 (1997)
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[Publications] 相楽 憲伸: "非線形制御を用いた磁性流体セミアクティブダンパによる振動制御" 「電磁力関連のダイナミックス」シンポジウム. 193-198 (1997)
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[Publications] 金子 貴之: "ストリップのマルチマグネットによる制振制御" 「電磁力関連のダイナミックス」シンポジウム. 211-214 (1997)
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[Publications] 石井 尚弥: "H^∞制御を用いた鋼板磁気浮上装置のロバスト制御に関する研究" 電気学会産業応用部門全国大会講演論文集. III. 381-382 (1997)
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[Publications] 山田 敦: "磁性流体封入型セミアクティブダンパの基礎特性と加振実験" 電気学会産業応用部門全国大会講演論文集. III. 227-228 (1997)
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[Publications] 金子 貴之: "ストリップのマルチマグネットによる制振制御" 電気学会産業応用部門全国大会講演論文集. III. 383-384 (1997)
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[Publications] 浜 幹生: "水準器機能を利用した鋼板の水平制御" 電気学会リニアドライブ研究会. 13-18 (1997)
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[Publications] 金子 貴之: "ストリップのマルチマグネットによる制振制に関する検討" 電気学会リニアドライブ研究会. 25-30 (1997)
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[Publications] 大庭 吉裕: "磁気浮上車両における空気圧式アクティブサスペンションの基礎実験" 電気学会リニアドライブ研究会. 37-42 (1997)
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[Publications] 松本 陽: "波状摩耗の成長過程に関する考察" 機会学会第75期通常総会講演会 交通・物流部門. (1998)
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[Publications] 大庭 吉裕: "鉄道車両におけるH^∞制御アクティブサスペンションの基礎実験" 機会学会第75期通常総会講演会 交通・物流部門. (1998)
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[Publications] Toshiko Nakagawa: "A PROPOSAL OF A NONLINEAR H^∞ CONTROL METHOD FOR AN ACTIVE DAMPER WITH A MAGNETIC FLUID BASE" IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS. 33. 4206-4208 (1997)