1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650391
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
工藤 勝利 明治大学, 理工学部, 教授 (00062000)
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Keywords | 電気トリ- / フラクタル / フラクタル次元 / カオス / 高分子絶縁材料 / シミュレーション |
Research Abstract |
今年度は、成長確率と電位降下を考慮したコンピュータシミュレーションを作成するとともに、このシミュレーションの結果と、前年度までに実際の試料で得られたトリ-の結果と比較検討し、トリ-状欠陥の進展メカニズムの解明とトリ-状欠陥の絶縁診断法の一部について検討を行った。得られた結果は、以下のようである。 1.トリ-先端部における成長確率とトリ-管内の放電時における電位降下を考慮した3次元トリ-シミュレーションにより、実際のトリ-状欠陥の進展においても、トリ-先端部における局部電界効果と進展時のランダム性が重要であることが明らかとなった。 2.シミュレーション結果と実際のトリ-の結果より、トリ-先端部の成長確率とトリ-管内の電位降下を考慮したトリ-のモデル化が可能となった、この場合の支配要因としては、成長確率に関しては空間電荷効果が、またトリ-管内の電位降下に関してはトリ-進展に伴う分解生成ガス圧が、重要であることが明らかとなった。 3.トリ-のフラクタル・カオス解析の結果から、トリ-の進展メカニズムとして、空間的には自己相似的な特徴を持つこと、即ちトリ-先端部での局部電界はトリ-の長さに関わらずほぼ一定であること、また時間的にはフィードバックメカニズムが関わっていることが推察された。 4.高分子絶縁体中のトリ-状欠陥の絶縁診断法の一つとして、トリ-進展の形状のフラクタル次元による診断が可能であることがわかった。即ち、トリ-進展の形状のフラクタル次元が2以下の場合は比較的早く進展するため、絶縁破壊も容易に起こり、電気絶縁的には極めて危険であることから、フラクタル次元の分類によるトリ-状欠陥の絶縁診断の可能性が指摘された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 植原弘明: "シミュレーショントリ-と交流実トリ-の3次元フラクタル解析" 電気学会・電気絶縁材料シンポジウム. VIII-5. 171-174 (1997)
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[Publications] H. Uehara: "The 3-D Fractal Analysis of Electrical Trees using a serial sectioning method and a CT method" Proc. of 6th Int. Conf. on Conduction and Break-down is Solid Dielectrics. (6月掲載予定). (1998)
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[Publications] H. Uehara: "Chaotic Charactor of Luminous and Partial Discharge Phenomena during AC Electrical Tree Propagation" Proc. of 30th Symp. on Electrical Insulating Materials. (9月掲載予定). (1998)