1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650508
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
幹 康 拓殖大学, 工学部, 教授 (90092337)
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Keywords | 不快音 / 摩擦振動 / 摩擦振動モデル / スティックスリップ / ガラス |
Research Abstract |
前年度に実施した2つのアプローチのうち,特に,第2の「物理モデルによる不快音の合成」を中心に検討を行った. 摩擦振動系の物理モデルに基づいた運動方程式において,これを記述するいくつかのパラメータ(物体間の摩擦係数,引っ張り速度等)を変化させることにより,モデルの挙動が変化することを確認した.特に,その変化は,不連続的に起こり,その境界領域ではカオス的な挙動を示すことも明らかになった.さらに,上記パラメータに一定の乱数を注入することによって,より現実的な音の合成が可能となる.不快音の本質ともいえるスティック・スリップの不規則性はこの乱数の与え方に依存するものであり,これが不快音合成の鍵となると思われる.1秒間程度の解を求め,スティック・スリップの変動を確認すると共に,聴感上の印象も確認した.この解はインパルス列として与えられるが,最終段階として,ガラス板自体のインパルス応答を別途採取し,それを畳み込むことによってガラス板に対する摩擦振動音の合成を試みた. 現段階では,ガラス板のインパルス応答を採取する環境と方法に間題が残されており,満足いくデータが得られていない.ガラスのインパルス応答は単に音の色付けを行なっているだけなのか,あるいは,その時間的変化等に不快性をもたらす要因が含まれているのかどうかを含め,問題が残されている.
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