1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650589
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
真野 明 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50111258)
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Keywords | 沿岸漂砂 / 河口砂州 / 河川流 / カスプ地形 |
Research Abstract |
河口周辺においては、河川の流れと、波および波による海浜流が共存し、これらが、流域から排出される土砂や沿岸の土砂を運んでいる。この河口での土砂の動きを、把握することができれば、流域と海域を結びつけた広域の土砂輸送評価に道が開かれるが、現象が複雑なため、あまり手がつけられていない現状である。本研究は、阿武隈川の河口砂州の縁辺にしばしば出現する、大規模なカスプ地形に注目し、これを表現するモデルを提案することにより、河口での流れや土砂移動の機構を明らかにしようとするものである。 砂を運ぶ外力としては、河川流と波による沿岸流を考えることにした。海域における河川流の流速場は2次元噴流の式を準用して、水深が変化する効果を補正して求めた。また、沿岸流速場はLonguet-Higgins(1970)の式を用い、これらを線形的に重ねあわせることにより、河川流と沿岸流の共存場を求めた。次に、共存流速場から流線を求め、流線に沿って、土砂の連続式を解くことにより、全計算領域の堆積と侵食の分布を求めることにした。ここで、砂の移動形態は掃流砂とし、Meyer-Peter-Mullerの掃流砂公式を用いた。 海域は一様勾配とし、そこに矩形断面の河川が接続する地形にモデル化した。阿武隈川に近い仙台新港で運輸省が観測している波浪データを利用し、沖から屈折解析を行い、合田の砕波指標を使って砕波点を求め、沿岸流の分布を求めた。また河川流は建設省が河口の岩沼で観測している流量データを集め、河口での流速が等価になるように境界条件を与えた。 主な堆砂域は、河口の両岸から沖に伸びる部分と、河口中央部の沖合いである。沿岸漂砂の上手側である右岸のから伸びる堆砂域は、細長く砕波点まで伸びていること、沿岸漂砂下手側の左岸から伸びる堆砂域は幅広く分布し、特に岸近くに高い分布があり、河川からの供給土砂が主な供給源であること、河口中央部の堆砂域のピークは砕波点付近になることなどがわかり、航空写真や深浅測量で選られる現地の堆砂状況をよく表していることがわかった。また、波や河川流の条件を種々変え、それによって生じる堆砂性状の変化を明らかにした。
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