1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650591
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小葉竹 重機 群馬大学, 工学部, 助教授 (00027260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 義彦 群馬大学, 工学部, 助教授 (70178995)
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Keywords | 気候緩和 / 森林効果 / 大気循環 / 微気象観測 |
Research Abstract |
本科学研究費で購入した可搬式総合気象観測装置によって、風速、風向、日射、気温の観測を、大学構内から約1.5km北方の森林内で観測した。またこれに先立って、7月下旬から8月上旬にかけて、琵琶湖プロジェクト96'夏期共同観測に参加し、琵琶湖東岸の木之本町天神跡森において孤立林内微気象の観測を行った。その結果、小規模な孤立林の温熱環境の特性として以下の興味ある現象を明らかにした。1.孤立林と周辺の水田の気温を比較すると、日の出から午後1時頃までは水田の気温が高く、それ以後から翌朝にかけては孤立林内の方が気温が高い。これは孤立林の規模にも関係するが、林内が常に涼しいという固定的な観念とは異なる。2.周辺の水田の気温変化とは10〜30程度の位相差がある。ただし、夕立のような強い風と雨を伴う激しい気象変化は位相差なしで現れる。3.風は孤立林がもつ粗度の効果で減衰し、林外で1m/秒の風は林内では無風となる。4.日射は樹冠上部で950w/m^2程度の値をもつが、林内では50w/m^2程度に減衰する。なお、木漏れ日は100〜300w/m^2程度の値をもつ。5.地表面の温度は水田では大きく変化し、夜間は地面から大気に向けての熱の移動が起きるが、孤立林ではこうした向きの移動は生じないか、生じてもごく短い早期の期間のみである。6.これらの現象は孤立林の規模と密接に関係しており、さらに孤立林内での横断方向の観測を行うことによって、温熱環境の形成過程が明確となり、シミュレーションモデルの精巧化に大きく寄与するものと期待される。また、前記の大学北方の森林内と大学構内の気温の比較では、常に森林内の気温が低く、こうした規模の異なる森林内での観測はモデル構築の上で非常に有意義であることがわかった。
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Research Products
(1 results)