1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650591
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小葉竹 重機 群馬大学, 工学部, 教授 (00027260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 義彦 群馬大学, 工学部, 助教授 (70178995)
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Keywords | 大気循環 / 植生モデル / 微気象観測 / シミュレーション |
Research Abstract |
森林が大気循環に果たす役割について、観測とその結果に基づくシミュレーションモデルの構築という2本の柱を中心に研究を進めた。観測は平成8年度は琵琶湖プロジェクトに参加し、平成9年度は埼玉大学、千葉大学、建設省土木研究所との共同観測に参加した。琵琶湖プロジェクトでの観測は、参加者が集中的に観測を行っていた水田の近傍で、もと天神様のお社があった30m×50m程度の大きさの孤立林で、林内の気温、湿度、風速、日射、地温の観測を行った。平成9年度の共同観測は、つくば市の土木研究所の近傍にある100m×200m程度の林で、林内の気温、湿度、風速、地温の鉛直分布および日射と、林外での気温、風速、日射の観測を行った。これらの観測を通じて得られた共通の結果は、日中は林外の方が気温が1〜2℃高いが、午後3時〜4時頃からは林内の方が気温が高くなり、その状態は翌朝の6時の日出まで続く。気温のピークの時差は30分程度であり、樹冠部で受けた日射が順次散乱、放射によって下方に伝達されていることが分かるが、一方、強い風を伴う夕立のような急激な気象変化は林内も林外と同様な気温変化となり、外部の変化がそのまま林内に持ち込まれている。つくばでの鉛直分布の観測結果からは、丁度、樹冠から樹冠上に相当する14m〜18mにかけて、気温、比湿ともに勾配が大きく、また14mの付近で極大値をとることが分かった。この結果から2点法を簡略化して時刻を固定して拡散係数を逆算し、その観測期間中の平均値を用いてフラックスの算定を行ってみたところ、顕熱、潜熱の値が熱収支から予想される値の2倍程度となった。したがって推定した拡散係数の値が大き過ぎることが分かるが、得られたフラックスの向き、傾向は従来の知見と矛盾がなく、気温、湿度、風速などの鉛直分布の観測が、正しく行われていることが確認できた。LESモデルを用いてシミュレーションを試みている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.O.Myadawa: "Estimating Transmission Losses in the Channel of River Tana,Kenya" Journal of Japan Society of Hydrology & Water Resources. Vol.10 No.2. 161-173 (1997)
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[Publications] 小葉竹 重機: "河川水温の形成過程における光の吸収率の影響" 土木学会水工学論文集. 第41巻. 599-604 (1997)
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[Publications] 清水 義彦: "平衡植生流れと浮遊砂輸送に関する数値計算" 土木学会水工学論文集. 第41巻. 845-850 (1997)
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[Publications] Shimizu Yoshihiko: "Suspended Sediment Concentration Affected by Organized Motion Near Vegetation Zone" Enrironmental and Coastal Hydraulics,The27th IAHR Congress. Proc.of Thema B. 1384-1389 (1997)
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[Publications] 小葉竹 重機: "植生の回復に伴う流出特性の変化" 土木学会水工学論文集. 第42巻(印刷中). (1998)