1996 Fiscal Year Annual Research Report
軽薄短小材としてのβ型チタン合金薄板材の腐食疲労特性
Project/Area Number |
08650826
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyota National College of Technology |
Principal Investigator |
中島 正貴 豊田工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (30043219)
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Keywords | β型チタン合金 / Ti-15Mo-5Zr-3Al / 薄板試験片 / 疲労き裂進展挙動 / 3%NaCl水溶液 / Ti-6Al-4V / フランクトグラフィ / 破壊機構 |
Research Abstract |
β型チタン合金Ti-15Mo-5Zr-3Alを用いて,板厚を0.5mm,2mm,10mmと変えた3種類の試験片について,大気中および3%NaCl水溶液中において疲労き裂進展挙動を求め,(α+β)型チタン合金Ti-6Al-4Vと比較した。大気中における三種類の板厚の試験片における,疲労き裂進展速度da/dNと応力拡大係数幅ΔKを比較すると,ΔK≧10MPa・m^<1/2>の領域ではda/dNに大きな違いは認められなかったが,ΔK≦10MPa・m^<1/2>の領域では板厚0.5mm,2mm,10mmの順にda/dNは低速度側へとシフトしていた。すなわち,板厚が厚くなるにしたがい疲労き裂進展速度は遅くなった。また,10mm厚の試験片による,大気中ならびに3%NaCl水溶液中におけるda/dN-ΔK関係を比較すると,3%NaCl水溶液中における疲労き裂進展速度はΔK≦5MPa・m^<1/2>の領域で,大気中の結果よりもき裂進展速度が高くなっていた。一方,5MPa・m^<1/2>以上の領域では,両環境下の疲労き裂進展挙動はほぼ等しくなっていたことから,腐食環境の影響は疲労き裂進展の低速度領域において顕著であった。Ti-15Mo-5Zr-3Al合金とTi-6Al-4V合金の比較では,Ti-15Mo-5Zr-3Al合金の大気中ならびに3%NaCl水溶液中におけるda/dN-ΔK関係は,Ti-6Al-4V合金のそれよりも高速度側に位置していた。このことから,き裂進展抵抗の点でTi-15Mo-5Zr-3Al合金は,Ti-6Al-4V合金よりも劣っていることが明らかとなった。 今後は,両材料における薄板材の3%NaCl水溶液中における疲労き裂進展挙動について明らかにするとともに,破面観察を通じて薄板材の破壊機構を調べる予定である。
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