1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650884
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Research Institution | YAMAGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 志美雄 山形大学, 工学部, 教授 (60007185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 忠弘 山形大学, 工学部, 助教授 (90200261)
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Keywords | 石炭 / 有機電気化学的酸化 / C_1化学原料 / フミン酸 / 石炭ガス化 / 界面活性剤 |
Research Abstract |
本研究は石炭スラリーを選択的にCOへ陽極酸化し、陰極側で発生するH_2との混合ガスとしてC_1化学工業の合成原料ガスへ転換することを目的としている。これまで本転換反応の化学工学的解析と高活性メデイエータの開発を主として行い、本反応が逐次的な機構で進行し、反応中間体の電解媒体への溶解性が反応特性に大きく影響すること、及び酸化還元対として、酸性石炭スラリーではMn^<3+>/Mn^<2+>、アルカリ性石炭スラリーではFe(CN)_6^<3->/Fe(CN)_6^<4->がメデイエータとして有望であることを見出した。しかし、目標とする反応速度(反応時間1hで石炭反応率80%)、ガス選択率(数十%)を得るには至っていない。本年度は、この目標を達成するため、メデイエータ接触効率の増大及び高基質濃度下での安定な電解の実現に主眼を置き検討した。 その結果、石炭粒子の均一な分散が粒子濃度の高くなる程困難で、これまでは低濃度(石炭濃度0.5%)でしか電解を行えなかったが、アルカリ性スラリーではアニオン界面活性剤を添加することにより、3%程度のスラリーまで、安定して電解を行えることが分かった。しかし、この条件下でも目標とする反応速度及びガス選択率に達せず今後の検討課題として残った。また、本電解系の一次生成物はフミン酸であり、その有効利用を図る事も重要である。この物は界面活性剤としての期待されるが、上記の界面活性剤の代替物として利用できるならば、特に外部から安定剤を加えずとも、自律的に高濃度スラリーの安定的な電解を実現できるもの考えられる。そこで、数種の石炭を用いそれから回収あるいは電解酸化により得たフミン酸の界面活性性を検討した結果、分子量1万〜20万のフミン酸が良好な特性を示すことが明らかになった。 本研究は所期の目的を必ずしも達成したとは言い難いが、得られた知見は今後の石炭電解ガス化実現のための基礎となるもと期待される。
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