1996 Fiscal Year Annual Research Report
ナノメータサイズのエアロゾル粒子およびイオンクラスターくらの動力学的挙動の解明
Project/Area Number |
08650896
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
向阪 保雄 大阪府立大学, 工学部, 教授 (70081346)
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Keywords | エアロゾル粒子 / 静電分級器 / 凝縮核計数器 / 電気移動度 |
Research Abstract |
粉体を扱う各種の工業において粒子の高品質化、高機能化が進む中でより微小な粒子を利用する要求が高まっており、研究の対象もより微細な粒子へと移ってきている。このように粒径が小さくなるとさまざまなサイズ効果が生じることがわかっているが、気相中に分散した状態における粒子(エアロゾル粒子)の動力学的挙動については不明な点が多い。これは、気体としての性質が支配的な分子クラスターと固体あるいは液体としてのバルクな性質が支配的な超微粒子の区別がつかない領域では、高濃度で粒子を発生させることや精度良く測定することが非常に困難なためである。 本研究では、エアロゾル粒子の計測に静電分級器(DMA)を凝縮核計数器(CNC)もしくはエレクトロメータ(EM)を用いて、気相中における超微粒子の動力学的挙動の解明についての基礎研究を行い、次の成果を得た。 DMAによって超微粒子を分級するときにおこる電気移動度のシフトについて理論的・実験的検討を行い、(1)異なる粒子径をもつ粒子のブラウン拡散による混合効果、および(2)帯電粒子によって発生する空間電界の存在によって生じることを明らかにした。またその結果、(1)平均粒径よりも小さい粒子は真の粒子径よりも小さく測定される。(2)平均粒径よりも大きい粒子は真の粒径より大きく測定される。(3)粒子個数濃度が高い方が電気移動度のシフトは大きくなる。(4)低い個数濃度の場合でもブラウン拡散の影響によって電気移動度のシフトはおこる。(5)電気移動度のシフトは一段目のDMAについてのみ重要で、二段目のDMAでは無視できることを指摘した。
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[Publications] Endo Y., N. Fukushima, S. Tashiro and Y. Kousaka: "Performance of a Scanning Differential Mobility Analyzer" Aerosol Science and Technology. 26. 43-50 (1997)
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[Publications] M. Alonso and Y. Kousaka: "Mobility Shift in the Differential Mobility Analyzer due to Brownian Diffusion and Space-Charger Effects" J. Aerosol Sci.27. 1201-1225 (1996)