1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
長谷川 博 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (00090457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥本 裕 京都大学, 農学部, 講師 (90152438)
白岩 立彦 滋賀県立大学, 環境科学部, 助手 (30154363)
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Keywords | イオントランスポーター / ATPase / 硝酸吸収 / カリウム吸収 / イネ / 突然変異 / セシウム抵抗性 / 葉緑素量 |
Research Abstract |
1.根の原形質膜におけるイオントランスポーター関連遺伝子について。 前年までに育成したイネの低硝酸吸収能突然変異系統について、硝酸代謝や原形質膜のATPase活性に関わる阻害剤が硝酸とカリウムの吸収に及ぼす影響を調べた。日本晴を原品種とする突然変異系統NUE13-1とNUE13-2においては、原品種と同様にバナデン酸、タングステン酸、モリブデン酸、セシウムの前処理により硝酸とカリウムの吸収が著しく低下した。またルテニウムレッド(Rr)前処理は日本晴の硝酸吸収を抑制するがNUE13-1とNUE13-2では吸収抑制は認められなかった。Rr前処理はカリウムのeffluxを促進する作用があった。一方、金南風を原品種とするNUE50-1〜5においてM3代まで見られた低硝酸吸収性を確認することができなかった。金南風とNUE50各系統においては、阻害剤の前処理による硝酸吸収の抑制程度が日本晴とそれに由来する突然変異系統の場合に比べて小さかった。しかし、セシウムの阻害効果がNUE50においてより明確に現れるなど、原品種と異なる点も明らかになった。以上の結果はNUE13およびNUE50では根の表皮細胞の原形質膜に何らかの変化が生じていることを示唆するものである。 原形質膜のATPase活性との関連が指摘されているセシウム抵抗性としてM2で選抜されたイネ個体からM3種子について、セシウムの幼植物成長の阻害効果を調べ、抵抗性を示す6突然変異系統を育成することができた。 2.窒素転流能に関わる遺伝子の探索 研究室で維持している約300系統のイネについて、出穂直前の止葉の葉緑素量をSPAD計により測定した。SPAD値として25〜57の変異があり、他形質の調査とあわせてNとCの転流、代謝の遺伝変異に関する基礎データを得ることができた。
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