1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660010
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
長谷川 博 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (00090457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥本 裕 京都大学, 大学院・農学研究科, 講師 (90152438)
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Keywords | イネ / セシウム抵抗性 / 突然変異 / イオントランスポーター / セシウム吸収 / カリウム吸収 / ディファレンシャル・ディスプレイ法 / mRNA |
Research Abstract |
本年度はこれまでに育成したイネのセシウム抵抗性突然変異系統(CSR系統)について、突然変異遺伝子の分子レベルでの同定を試みるとともに、同突然変異系統の主としてイオン球に関係した生理、遺伝学的解析を進めた。 得られた6つの突然変異系統について、セシウム抵抗性の程度、セシウム吸収能、およびカリウム吸収能を調べた。突然変異系統間でセシウム抵抗性に差異があること、また同程度のセシウム抵抗性を示す系統の中でセシウム吸収に差異があること、さらにセシウム吸収とカリウム吸収の関係にも系統間で差異があることから、得られた突然変異体はイオン吸収機構に関与することは確実であり、また異なる突然変異遺伝子により生じた可能性が強いことが明らかになった。 得られた突然変異系統のひとつCSR9と原品種日本晴の根よりmRNAを抽出し、簡易ディファレンシャル・ディスプレイ(DD)法により両者の間で発現レベルが異なる遺伝子があるかどうか検討した。その結果、用いた20種類のプライマー(6-mer)の一部によるPCR産物に、突然変異系統に特異的に現れる増幅産物が見いだされた。DD法により他の突然変異系統の遺伝子発現を調べることにより、突然変異遺伝子を同定し、その作用を明らかにする方法を確立することができた。 なお、セシウム抵抗性の遺伝を調べたところ、CSR9のセシウム抵抗性が単一優性遺伝子により支配されている可能性が大きいこと、CSR15ではF2集団が抵抗性に関して連続分布をすることがわかった。これらの結果は多様な遺伝子がセシウム抵抗性に関与していることを示唆している。
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