1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660037
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
藤田 修二 佐賀大学, 農学部, 教授 (90039339)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 信行 佐賀大学, 農学部, 助教授 (50173018)
|
Keywords | アスコルビン酸酸化酵素 / カンキツ類 / アスコルビン酸の定量 / アスコルビン酸酸化酵素の分布 / ニホンナシ / ポリフェノール類 / 抗酸化能 / 機能性物質 |
Research Abstract |
カンキツ類及びニホンナシにおいては生食用果実の品質を高めるために多量の幼果が摘果され、廃棄されている。本研究ではこれらの摘果幼果のバイオマスとしての有効利用を目的として、本年度は幼果よりの酵素の製造とその利用について検討した。 まず、カンキツ類におけるアスコルビン酸酸化酵素(AAO)の分布について調べた結果、供試したすべての果実にAAO活性が存在すること、その活性は幼果の方が成熟果より5-20倍強いことを認めた。また、AAO活性はアルベド、フラベド、パルプの順に高かった。そこで、ウンシュウミカンの幼果を用いてAAOの製造を試み、そのアスコルビン酸(AsA)分析用の試薬としての適性を検討した。その結果、AsA分析試薬としては、アセトンパウダーの抽出液で十分使用可能であり、これまで使用してきたキュウリ酵素と同程度の分析精度を示すことを明らかにした。更に、ミカン酵素はキュウリ酵素よりの酸性側でのpH作用域が広いことから、食品分析における対象食品の範囲が広がるものと思われた。 同時に、ニホンナシ幼果に含まれるポリフェノール化合物(PP)の種類と、それらの機能性についても追究した。その結果、幼果には品種によってやや差はあるものの、PPとして大量のクロロゲン酸類とカテキン類が存在し、それらの酵素的褐変の基質となっていることを明らかにした。さらにこれらPPを主成分とする摘果幼果の抽出液は油脂(リノール酸)の酸化に対して、これまで使用されているBHT等の酸化防止剤より高い抗酸化活性を示すことを認めた。今後はこれらPPの更なる機能性の検討と食品添加物としての利用等について検討の予定である。
|