1997 Fiscal Year Annual Research Report
ミツバチの分業におけるスペシャリストの出現とその機構
Project/Area Number |
08660067
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Research Institution | TAMAGAWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中村 純 玉川大学, 学術研究所, 講師 (30256002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 正己 玉川大学, 農学部, 教授 (40096061)
松香 光夫 玉川大学, 農学部, 教授 (30074339)
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Keywords | ミツバチ / 父系多型 / スペシャリスト / 分業 / DNA / マイクロサテライト |
Research Abstract |
1.遭伝的背景の評価 アガロースを用いたマイクロサテライト多型検出は,父方多型の検出には限度があり,この点ではアクリルアミドゲルによるより高分解能を持つ検出方法が必要となった(現在も継続して開発中).ただし,観察巣箱によるスペシャリスト抽出は,比較的個体数を得やすいundertaking行動についても個体数に限界があり,より個体数の得られやすい条件を模索せざるを得ない. 2.行動学的背景の評価 行動分析によってスペシャリストのタスク(今回はundertaking)を示した個体には,共通の性行があることが観察された.まず,スペシャリストのタスクを分担する間にも他のタスク(疑似タスク)を多く含み,またいずれのタスクについても多個体よりも頻度高く行うことが確認された.スペシャリストのタスクから開放されると外勤蜂となったが,その場合にも巣房に対する行動の成分が多種で,またそれぞれの頻度も高かった.さらに,異物反応が多個体よりも過剰であった. :3.スペシヤリスト化の要因 遺伝的背景ついては,今後さらなる研究を進めるが,現状では,行動的な側面の方がより重要であるという結論を導いた.概して,働き蜂のうち,刺激に対する反応閾値の設定が低くなっているものが巣内の多様なタスクを検出しやすく,そのため,比較的需要の低いタスク(=スペシャリストのタスク)に就きやすいと考えられる.
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