1997 Fiscal Year Annual Research Report
大豆の主要アレルゲンGly m Bd 26Kのアレルゲン性に関する研究
Project/Area Number |
08660161
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
辻 英明 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (20093875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板東 紀子 徳島大学, 医学部, 教務員 (40116851)
木本 真順美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教授 (40108866)
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Keywords | 大豆 / アレルゲン / Gly m Bd 26K / 糖鎖 |
Research Abstract |
私達は既に、大豆における主要なアレルゲンとしてGly m Bd 68K,Bd 30KおよびBd 26Kを見いだし、前二者についてはよく認識を深めることができたが、Gly m Bd 26Kについての知見は全くない。本研究はGly m Bd 26Kのタンパク質化学的性質及びそのアレルゲン性の解明を目的として行い、以下の成果を得た。 まず、脱脂大豆より、各種クロマトグラフィーなどにより電気泳動的に均一にGly m Bd 26Kを単離・精製した。本アレルゲンは分子質量26kDaの糖タンパク質であり、その糖組成よりアスパラギン結合型糖タンパク質であることが明らかとなった。次いで、リジルエンドペプチダーゼで本アレルゲンを断片化後、糖ペプチドを単離し、そのアミノ酸配列を本アレルゲンのN末端アミノ酸配列と比較することにより糖鎖の結合位置はN末端より20番目のアスパラギン残基であることが示された。更に、興味深いことに、西洋わさびパーオキシダーゼの糖鎖は本アレルゲンのそれと同じであると考えられるが、それに特異的な抗体を用いて詳細に検討した結果、本アレルゲンの糖鎖は大豆アレルギー患者血清中のIgE抗体と特異的に反応することが示された。このことは他の同じ糖鎖を有する糖タンパク質もアレルゲン性を有するという重要な結論に結びつく問題を提起するものである。 また、大豆利用食品における本アレルゲンを定量する目的で、本アレルゲンに対する2種類のモノクローナル抗体を作製し、これら抗体を用いるサンドイッチELISAを開発した。本法により、0.5〜10ngのGly m Bd 26Kを定量することができた。本法を用いて、各種大豆利用食品における本アレルゲンを測定した結果、本アレルゲンは豆乳、豆腐、湯葉、油揚げなどには高濃度に存在したが、醤油、味噌、納豆などの発酵食品ならびにミートボールなどの加工食品には存在しなかった。
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