1997 Fiscal Year Annual Research Report
コレステロール吸収に関与する輸送タンパク質に関する研究
Project/Area Number |
08660163
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
池田 郁男 九州大学, 農学部, 助教授 (40136544)
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Keywords | コレステロール / ミセル / 吸収 / 微絨毛膜 / Caco-2細胞 / コレステロールエステラーゼ / 小腸 / モノマー |
Research Abstract |
前年の研究で、コレステロールエステラーゼはラット小腸微絨毛膜へのミセルコレステロールの取り込みを増加させることを見いだし、その機構として、ミセルからモノマーとしてのコレステロールの放出を促進させることでコレステロール吸収を亢進している可能性を示唆した。また、コレステロールエステラーゼは微絨毛膜へ結合して作用しているのではないことも明らかにした。今回は、コレステロールエステラーゼが小腸吸収細胞へのコレステロールの取り込み、細胞内でのエステル化、および細胞からの分泌に及ぼす影響を調べるため、大腸ガン細胞であるが分化すると小腸吸収細胞に似た機能を有するCaco-2細胞を用いて実験を行った。通常培養細胞は血清添加で培養されるが、血清中にはリポ蛋白質としてコレステロールを含有するので、それらを除去した血清および無血清培養でも実験を行った。その結果、小腸微絨毛膜の場合同様に、コレステロールエステラーゼはミセルコレステロールのCaco-2細胞の微絨毛膜側からの取り込みを促進した。また、コレステロールエステラーゼ添加により細胞内でのコレステロールのエステル化率が上昇し、コレステロールの基底膜側からの分泌も増加した。このような効果は、血清、リポ蛋白質除去血清および、無血清培養のいずれの場合も観察された。このことから、コレステロールエステラーゼは、コレステロールの細胞内への取り込みを促進するだけでなく、細胞内でのコレステロールのエステル化を促進し、コレステロールエステルの生成を増加させるとで、コレステロールのカイロミクロンとしての細胞外への分泌を亢進していることが示唆された。
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