1996 Fiscal Year Annual Research Report
キタムラサキウニの異物に対する液性・細胞性因子の生体防御機能に関する研究
Project/Area Number |
08660218
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松谷 武成 東北大学, 農学部, 助教授 (90134030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾定 誠 東北大学, 農学部, 助手 (30177208)
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Keywords | キタムラサキウニ / 溶血素 / 凝集素 / 体腔細胞 |
Research Abstract |
1.キタムラサキウニ体腔液の液性防御因子の特性とその局在 ウサギとヒト赤血球に対する溶血素とウサギ,ヒト,ウマ,ヒツジ,ガチョウ赤血球に対する凝集素が存在した。溶血活性はCa^<2+>依存性で45℃で失活する。一方,凝集活性にはCa^<2+>依存性と非依存性のものとが混在し,D-フコース,L-アラビノース,D-ガラクトース,D-メレジトースによって活性が強く阻害された。体腔細胞溶解質にもまったく同じ特性を持つ溶血,凝集活性が認められたことから,体腔液の溶血,凝集活性は体腔細胞に由来することが示唆された。パーコールによる密度勾配遠心によって4種の体腔細胞を分画し,溶血活性が白色桑実細胞に局在していることがわかった。凝集活性は4種すべての細胞に認められたが,大きく異なる3タイプに分けられた。 2.液性防御因子の刺激に対する応答動態 ウサギ赤血球の投与は,溶血活性の誘導を引き起こし,体腔細胞抽出液のレベルでも誘導が確認された。短期,長期にわたる刺激への反応はヒツジ赤血球では見られなかったことから,この応答の異物特異性が推測された。しかし,体腔細胞の数的変化は体腔細胞ごとで違いは認められなかった。 これらのことから,体腔細胞を起源とする液性防御因子は異物による刺激によって,特に,溶血素が誘導され,恐らく異物に対するオプソニンとして食細胞との関わりにおいて有効に機能しているものと推察された。
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